◆全国高校野球選手権静岡大会▽準々決勝 加藤学園5―1浜松工(25日、ちゅ~るスタジアム清水球場)
浜松工は春王者の加藤学園に敗れ、2019年以来となる4強入りとはならなかった。
昨秋、春と8強止まりだっただけに増井裕哉監督は「8からの次の壁が高い。チャンスがなかったわけではない。選手たちは気持ちをつないでよくやってくれた」と悔やみながらも選手をねぎらった。
今夏初先発の左腕エースの村松幸河(3年)は6回1/3を5失点。目を赤く腫らせながら「チームを勝たせることができなかった」と、か細い声をひねり出した。指揮官が春王者の強さについて「走塁。特に(1―3の4回1死二塁)バントの構えをしながら、走者が三盗をする。強いチームはどの場面でも舞台でも三盗をする」と語ったように、最速139キロ左腕は相手の機動力野球に揺さぶられた。三盗されたのちに暴投で1失点。「走者の動きを気にかけてしまった。相手の流れの中で投げてしまっていた」。9安打と3つの盗塁を許し、肩を落とした。
ただ指揮官が最後まで選手らが諦めなかったと語るように打線は9回に2死一、二塁と奮起した。仲間との最後の夏。掛川シニア出身で、2学年上の兄を追いかけて入学した村松幸は「自分たちは厳しい練習を乗り越えてきた。高校ではいい投手陣ばかりで抜かされないように頑張って、自分は成長してきた」と感謝。自身は大学進学を予定。後輩には「自分たちが行けなかった甲子園にチーム一丸となって行ってほしい」と切実な願いを託して球場を去った。