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【パリ五輪】20歳5か月・藤野あおば、日本女子“五輪最年少弾” 進化を証明「スピードもパワーも乗せられた」

スポーツ報知 2024年7月26日 22時29分

◆パリ五輪サッカー女子 ▽1次リーグ第1戦 日本1―2スペイン(25日、ナント・ボジョワール競技場)

 1次リーグ(L)が始まり、2大会連続出場でFIFAランク7位のなでしこジャパンはC組初戦で同1位、23年W杯女王のスペイン代表に1―2で逆転負けを喫した。前半13分にMF藤野あおば(20)=日テレ東京V=が、日本女子“五輪最年少弾”となる直接FKを決めて先制も、終始試合を支配される展開で前半22分、後半29分に失点。96年アトランタ以来の初戦黒星発進となった。第2戦は28日(日本時間29日)に同9位のブラジルと激突する。

 全てを兼ね備えた極上の一発だった。0―0の前半13分、ゴールやや右の位置での直接FK。MF藤野はMF長谷川にキッカーを志願した。軸足に力を乗せて右足を豪快に振り抜くと、鋭いカーブのかかったボールは壁の外側を巻いて、ゴール右上を射抜いた。「すごくスピードもパワーも乗せられた。GKの手が伸びてくるとは思わなかったので焦ったけど、自信が最後の後押しにつながった」。20歳5か月での得点は、08年北京の永里優季(21歳1か月)を更新する日本女子“五輪最年少弾”となった。

 進化を証明した。昨年の女子W杯の準々決勝スウェーデン戦(1●2)で、2点を追う終盤に好位置でFKを任されるも、ボールはバーをたたいた後、真下に跳ね、ゴールラインを越えず。その悔しさを心に刻んでキック練習を重ね、1年前「自分でいいのかな」と迷っていた姿から「自信がありました」に変貌(へんぼう)。フランス出国前の親善試合ガーナ戦(4〇0)に続く、公式戦2戦連発のFK弾となった。

 世界を勝ち抜く上で日本の大きな武器となる。日テレ東京Vの竹本一彦強化部長は、11年女子W杯で世界一に貢献するなど、かつて高精度のキックでセットプレーの名手だった宮間あやを引き合いに出し、こう期待していた。「藤野はシュート、クロスでもいけるけど、フリーキッカーになってもらいたい。日本が肝心な試合で勝てるかどうかという時に、あのキックが生きたねという戦い方もある」。試合には敗れたが、藤野のFKという飛び道具は今後の戦いにもつながる。

 次戦は昨年の遠征で1勝1敗(3●4、2○0)だったブラジルとの対戦。過去5大会で1分け4敗と五輪の第2戦は“鬼門”だが、決勝トーナメント進出に向けて勝利が欲しい。「反省点を引きずるより、早く成果を出せるように頑張りたい。中2日で試合がくるのは自分的にはポジティブ」と藤野。勢いと若さを武器に負の歴史も塗り替える。(後藤 亮太)

 ◆藤野 あおば(ふじの・あおば)2004年1月27日、東京・町田市生まれ。20歳。幼稚園時に兄の影響でサッカーを始め、南大沢フットボールクラブ、日テレメニーナ・セリアスから十文字高を経て21年に日テレ東京V入り。22年10月に代表デビュー。23年ニュージーランドW杯のコスタリカ戦、19歳180日で得点を決め、日本のW杯史上男女を通じて初の10代ゴールを奪った。国際Aマッチ24試合7得点。162センチ、56キロ。

 ◆なでしこの五輪最年少ゴール これまでは08年北京五輪でFW永里優季がマークした21歳1か月が年少記録だった。藤野は男女通じて初めて10代でゴールを奪った23年W杯に続き、五輪でも日本の女子サッカー史上最年少得点を決めた。男子の五輪記録は、21年東京大会の1次リーグ初戦・南アフリカ戦でMF久保建英がマークした20歳1か月18日。

 ◆なでしこの過去の1次L第2戦 出場した過去5大会で通算1分け4敗と苦戦しており、5試合で1点も取れていない(7失点)。唯一のドローは銀メダルを獲得したロンドン大会のスウェーデン戦(0△0)で、この時は最終成績1勝2分けで1次Lを突破した。21年東京大会では0―1で英国に敗れた。

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