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NHK大河「光る君へ」定子さま崩御…切なすぎる辞世の歌に清少納言も涙 第29回みどころ

スポーツ報知 2024年7月27日 13時0分

 女優の吉高由里子が主演するNHK大河ドラマ「光る君へ」(日曜・後8時)の第29回「母として」が28日に放送される。

 大石静氏が脚本を手がけるオリジナル作品。大河ドラマではきわめて珍しい平安時代の貴族社会を舞台に、1000年の時を超えるベストセラー「源氏物語」の作者・紫式部/まひろの生涯に迫る。

 21日に放送された第28回「一帝二后」では、道長(柄本佑)との娘・賢子を出産したまひろ(吉高由里子)は夫・宣孝(佐々木蔵之介)と子育てを始める一方、道長は娘・彰子(見上愛)を中宮に立后するプランを推し進める。皇后となった定子(高畑充希)は第3子を身ごもり、命がけの出産に臨むも崩御。ききょう/清少納言(ファーストサマーウイカ)は悲しみにくれた。

 前代未聞の一帝二后。一条天皇(塩野瑛久)の心は定子にあるものの、死んだ表情で親の言いなりになっている彰子の姿にかつての自分を重ね、また行成(渡辺大知)の説得も功を奏し、彰子を中宮に立てることを前向きに考え始める。定子は帝から内裏に呼び戻されるが、家のために入内した自分のことも例に出しながら彰子を慈しむよう助言する。

 「これまでのことは全て偽りだったのか?」と感情論をぶつけてくる帝に「人の思いと行いは裏腹にございます。彰子さまとて見えておるものだけがすべてはございませぬ」と答えた定子さまのお心ばえ。すべてが見通せている賢さ、そして帝への思慕がうかがえて、胸が苦しくなる。「光る君へ」の登場人物はみな、思いと行いが裏腹である。人間の感情はコインの表裏のように繊細で、だからこそ美しい物語が生まれていくのかもしれない。

 定子は、献身的に仕えてくれた清少納言に感謝を述べながら、ともに過ごした日々を懐かしく思い返す。「わが心をば 君ぞ知りける」で知られるように、愛する人にも明かせない定子の本心に寄り添ってくれた唯一無二の友。まひろと道長がソウルメイトとして描かれてきたように、定子と清少納言にも理屈ではない心のつながりがあったはずだ。

 定子は第3子の出産に臨むも命を落とす。辞世の歌「夜もすがら契りしことを忘れずは 恋ひむ涙の色ぞゆかしき」が几帳台にくくりつけられていたくだりは「栄花物語」にも描かれている描写。「一晩中過ごしたあの日々を忘れていないなら あなたが泣いてくれる涙の色が知りたい」という意味で、もちろん一条天皇にあてた歌だが、これは清少納言にもあてたメッセージのように聞こえる。それだけの絆が2人の仲にはあったし、清少納言はきっと「枕草子」を書くことが自分なりの「涙の色」の表現だったのか、と受け取った。

 道長は高松殿で過労により倒れ、意識不明に。生死の境をさまよう道長の頭上で、北の方である倫子(黒木華)と明子(瀧内公美)はバチバチのやりとりを繰り広げているが、当の本人の脳内はまひろ一色。あの世と現世を行き来しながらまひろへの思いが最後に自分を現世にとどまらせてくれた。かつて悲田院でまひろが疫病にかかり危篤になったときのアンサー的描写だが、病床で他の女の名を呼ばれる明子のことを考えるとたまったものではないなと同情してしまう。明子は初登場直後は「源氏物語」の六条御息所のようなキャラクターで描かれていたが、この先どう転がっていくか楽しみのひとつである。

 さて、パリ五輪も開幕し、大盛り上がりのなか放送される第29回では、賢子は数えの3歳となりかわいい盛り。子ぼんのうな宣孝に賢子もなつき幸せな日々を過ごしていたが、任地に戻った宣孝は…という展開に。また道長はまひろを案じ、越前国守の再任かなわず帰京した為時(岸谷五朗)に子の学問の指南役を依頼するが、為時はこれを固辞。一方、土御門殿では、詮子(吉田羊)の40歳を祝う儀式が盛大に執り行われていたが、詮子の身体は弱っており…という、道長やまひろの周囲の悲喜こもごもが描かれていく。

 「母として」のサブタイトルの主語が、誰にかかってくるかで第29回の受け取り方は違うと思う。史実をご存じの方は想像をはりめぐらして見るのも楽しいだろうし、また先週の予告では、まひろが何かを書き出す描写もあった。時は着々と進んでいる。なお同時間帯には、パリ五輪のバレーボール女子、スケートボード女子予選など、日の丸を背負った女子たちの熱い戦いが中継予定。ただ「光る君へ」の女子たちもめちゃくちゃ頑張ってます。(NHK担当・宮路美穂)

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