◆第106回全国高校野球選手権群馬大会▽準決勝 健大高崎9―8前橋育英=延長10回タイブレーク=(25日・上毛新聞敷島)
全国16地区で決勝が行われ、代表校が決まった。群馬では、今春センバツVの健大高崎が前橋商に勝利し、9年ぶり4度目の出場を決めた。
初回、マウンドに上がった健大高崎の石垣元気投手(2年)は、センバツの決勝、先発した報徳学園戦を思い返していた。「いつもより少し力を抜いて、テンポ良く…」。8回2失点で初の全国制覇に導いた「背番号10」の心には、経験に基づく余裕があった。
力感なく投げても、ボールに強さがある。これが、石垣の成長だ。自己最速にあと1キロと迫る153キロをマーク。6回4安打1失点に抑え、8三振を奪った。「『自分が甲子園に導いてやる』という気持ちでした。ストレートが一番良かったです」。7回以降は「背番号1」の佐藤龍月投手(2年)が締めた。
“地元”前橋商への大声援にも動じることはなかった。「報徳学園の大応援を経験していますから」。前橋商が、4回途中からプロ注目の193センチ右腕・清水大暉投手(3年)を投入すると盛り上がりが増したが、それを冷ますように5回に151キロの直球で2者連続三振。「負けたくなかったので、スイッチが入りました」。プロのスカウトからは「今の3年生で、これだけの直球を投げる投手は少ない」という声も上がった。
今春センバツで、大会最速の150キロをマークした右腕は「155キロを投げたい」と甲子園での目標を掲げた。18年、大阪桐蔭以来9度目(8校目)の春夏連覇へ向け、大会期間中の8月16日に誕生日を迎える。「そこまで勝ち進んで、甲子園で祝ってもらえたら」。名前の通り「元気」な笑顔を見せた。(浜木 俊介)