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【高校野球】聖隷クリストファーが初の甲子園に王手…静高に9回連続二塁打で逆転勝ち

スポーツ報知 2024年7月28日 7時12分

◆第106回全国高校野球選手権静岡大会 ▽準決勝 静岡2-3聖隷クリストファー(27日・草薙)

 準決勝が行われ、ノーシードの聖隷クリストファーは1点を追う9回1死二塁から稲岡輝太三塁手と伊藤玲泉(れい)左翼手(ともに3年)の連続二塁打で逆転し、3―2で春の県準Vの静岡を撃破。優勝した20年独自大会を除くと、初の決勝進出を決めた。29日の決勝(草薙、午前10時開始)は春夏を通じて初の甲子園を狙う聖隷と、1998年以来26年ぶり6度目の優勝を狙う掛川西の対戦となった。

 最後の最後に連打が飛び出した。聖隷が1点ビハインドの9回1死二塁から、連続二塁打で静岡をうっちゃった。「どんなに追い込まれても、ここ一番で打てればいいんだ」。上村敏正監督(67)の言葉に2人の3年生が応えた。

 まずは、稲岡が汚名返上の同点打だ。「自分の失策から点を取られたので絶対、返してやろうと思った」。3回の失点を挽回する価値ある一打を放って二塁ベース上で派手なガッツポーズを繰り返せば、続く伊藤が右越えの適時打で勝ち越し。「ボールに集中することだけを考えました」。土壇場の逆転劇に三塁側のスタンドが大きく揺れた。

 ジリジリとしびれる展開を我慢した。エース・袴田行紀(3年)は自らの失策などで3回までに2点を奪われながら4回以降は、ゼロを並べた。「途中から変化球主体に切り替えた」。仲間の援護をもらった最終回は3者凡退でピシャリ。4安打完投で春の県準V校を封じた。

 1985年創部以来、初の決勝進出だ。上村監督にとっては昭和、平成に続き令和と、3元号での甲子園出場に王手をかけた。名将は母校・浜松商を指揮し、84年夏(昭和59年)など春夏通算7度の甲子園出場。同校では昭和でも平成でも聖地を経験したが、掛川西では2009年(平成21年)にセンバツ出場を果たした。3元号、すべて異なる高校での甲子園となれば、史上初の快挙となる。

 コロナによる甲子園大会が中止となった20年の代替大会で優勝。22年春には、東海大会で準優勝しながら不可解な選考でセンバツの選考に漏れた。当時の最上級生の悔しい背中を見て入学してきたのが今の3年生だ。「細かいところまでこだわる上村先生の野球をやってあと1つ勝ちたい」と、V打の伊藤。先輩たちから引き継いだ粘りの野球で、今度こそ“甲子園の女神”を引き寄せる。(塩沢 武士)

 〇…静岡は8回まで4安打1点に抑えてきたエース・谷脇健心(3年)が最終回につかまった。先頭打者に初球を中前に運ばれ、1死二塁から連続で二塁打を浴びて逆転負け。「今大会で1番いい状態だった。悔しい。甲子園に行きたかった」と声を絞り出した。昨夏、昨秋の初戦敗退から「粘り強くなろう」とナインは成長を続けて春は準V。しかし3年ぶりの優勝に届かず、松下球真主将(3年)も「まだまだ足りなかった」と肩を落とした。

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