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【パリ五輪】女子100バタで明暗 準決勝敗退の池江の課題は「筋力アップ」 決勝進出平井は「泳ぎの技術が高い」…松田丈志氏の目

スポーツ報知 2024年7月28日 11時0分

◆パリ五輪 第2日 競泳女子100メートルバタフライ準決勝(27日、ラデファンス・アリーナ) 

 3大会連続出場の池江璃花子(横浜ゴム)が、女子100メートルバタフライ準決勝に臨み、57秒79で全体12位となった。上位8人による決勝進出を逃した池江のレースを、五輪3大会連続メダリストの松田丈志氏が評論。

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 池江選手だが、現時点の全力を出し切ったレースだった。予選の時は表情からも緊張がすぐに見て取れた。準決勝は前半を攻めた泳ぎで平井選手と変わらないタイムで入ったが、後半バテてしまい、力負けという印象はぬぐえない。

 昨秋からはオーストラリアに拠点を移し名将マイケル・ボール氏の下で五輪に向け励んでいた。日本にいれば何かと注目される存在だけに、取り組みという意味では伸び伸びと水泳と向き合えたはずだ。ただ、3月の代表選考会からこの4か月間での積み上げや進化はあまり感じられなかった。拠点を移したことで精神的な面ではプラスだったかもしれないが、肉体的な底上げは、さほどプラスに影響したとは思えない。

 悔しい結果に終わったが、レース後に4年後のロサンゼルス五輪でのリベンジを誓ったことは、まだまだ闘志が残っている証拠だ。課題として挙げられるのは筋力アップ。闘病からここまで復活したこと自体が奇跡だが、本人が世界と闘うと言った以上は、フィジカル強化を徹底しなければならない。泳ぎのテクニックの中には筋力がなければできないことも多く、さらに後半までフル回転できる持久力の強化も必要だ。本来、ポテンシャルの高い選手だけに、ここからまだまだ成長していくだろう。

 平井選手は五輪初出場の17歳だが、全体的に泳ぎの技術が高い。初レ―スは誰もが緊張するが、全くおじけづかないメンタルの強さが持ち味だ。海外の選手に比べ体が小さい分、潜水技術に磨きをかけ細かいテクニックにこだわった結果、完成度の高い泳ぎを実現している。五輪の舞台は完成度の高い泳ぎでなければ通用しない世界。頼もしい若手であり、決勝も大いに期待したい。

 さらに平井選手にはメドレーリレー復活の主役を担ってほしい。競泳には4泳法あるが、何かひとつの種目で突出した選手が登場すると、相乗効果で他の泳ぎの選手たちも台頭してくる。私もロンドン(2012年)で経験しているが、その代表格が平泳ぎの北島康介選手だった。平井選手にはそういう存在になっていくことを期待しているし、その実力はあると思う。(2008年北京、12年ロンドン、16年リオ五輪3大会連続メダリスト)

 ◆松田丈志(まつだ・たけし)1984年6月23日、宮崎・延岡市生まれ。40歳。中京大卒。現役時代は2004年アテネから16年リオまで4大会連続五輪出場。08年北京でマークした200メートルバタフライの日本記録は、12年間破られなかった。200メートルバタで五輪2大会連続銅。12年ロンドンでは男子400メートルメドレーリレーで銀、16年リオ五輪では男子800メートルリレーでも銅を獲得。現役時代は184センチ、84キロ。16年に引退し、テレビのスポーツコメンテーターなどでも活躍中。パリ五輪は競泳でスポーツ報知の評論家を担当。

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