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【高校野球】鶴岡東 控え選手も一丸でつかんだ2年ぶりの甲子園切符…目指すは先輩超えの8強以上

スポーツ報知 2024年7月28日 8時48分

◆全国高校野球選手権山形大会 ▽決勝 東北文教大山形城北1-11鶴岡東(27日・ヤマリョースタジアム山形)

 山形決勝で鶴岡東が東北文教大山形城北に11―1で大勝。2年ぶり8度目の全国高校野球選手権(8月7日から17日間、甲子園)出場を決めた。先発した2年生左腕の杉浦朔が、8回2/3を投げて5安打1失点の好投。打線は先発全員の16安打でそつなく得点を重ね、投打で圧倒した。レギュラー陣だけでなく控え組を含めた3年生全員の力で頂点をつかみ、佐藤俊監督(52)との“約束”に応えた。

 マウンド付近に集まった鶴岡東の選手たちは、もみくちゃになりながら笑顔で優勝の喜びに浸った。投打がかみ合い、2年ぶりの夏切符に佐藤監督は「初回は少しバタバタしたけど、中盤からは落ち着いて冷静にやれた」。大一番でも焦らず、本来の力を出した選手たちをたたえた。25日の大雨の影響で、隣接する酒田市など庄内地方は大きな被害を受けた。同校の被害はほぼなかったが、勇気や元気を与える甲子園出場だ。

 たくましさを増した2年生左腕が試合をつくった。エース桜井椿稀(3年)より多い今大会3戦目の先発となった杉浦は、初回に失策絡みで1失点も「球が浮いていたので、ブルペンで低めを意識した」と修正。2回以降は無失点に抑えた。今春に初めてベンチ入り。数多くの経験を積んだことで「(決勝でも)自分の投球ができたと思う」と胸を張った。打撃では5回無死満塁。今春から通算19打席目で公式戦初安打となる中前適時打を放った。「自分でもビックリしました」と話した杉浦に、指揮官も「あんな細い体で、バテてたと思う。頑張りました。(安打は)あれが一番盛り上がりましたね」と笑った。

 大会前の激励会。指揮官はこう語ったという。「甲子園で3年生全員と写真を撮りたい」。19年夏に出場時、室内練習場で3年生全員と記念撮影したが、22年夏はコロナ禍で制限が多く撮影はかなわず。今年こそ、という思いからだった。

 控えの3年生たちも誇りを持って、チームのために汗を流した。前日に雨が降れば集合時間よりも早く来てグラウンドを整備するなど、裏方の仕事はすべて引き受けた。小林優星主将(3年)は「自分たちが何でもやるから、勝ってくれと言われました」と明かした。指揮官の「人生にはレギュラーも補欠もない」という考えの下、それぞれの立場で全力を尽くした。

 閉会式後、佐藤監督が控えの3年生にも感謝の言葉を述べると、多くの選手がうれし涙を流した。甲子園出場で監督との“約束”に応え、聖地で目指すは“先輩超え”の8強入りだ。小林主将は「勝って(控えの3年生たちを)喜ばせたい」と意欲十分。固い結束力で白星をつかんでいく。(有吉 広紀)

 ☆鶴岡東・桜井椿稀(4月のU―18日本代表候補選手強化合宿に参加。背番号1の3年は4番・左翼で先発し)「(代表の仲間と)対戦できるのはうれしいけど、その中でチームが勝つように自分たちの野球をしたい」

  ◇鶴岡東(鶴岡市)1968年に創立された私立校。2000年に現校名に改称。生徒数601人。野球部は創立と同時に創部。甲子園は今回を含めて春2度夏8度出場。部員数107人。斎藤哲校長。

 東北文教大山形城北は初めての決勝という重圧に、本来のプレーが影を潜めた。6失策と守備が乱れ、打線も散発4安打。中盤以降は失点を重ね、大差をつけられての敗戦。東北文教大山形城北の増井文夫監督(58)は「試合前から(選手たちの)雰囲気が違うな、と感じていた。力を出しきれなかったですね…」と苦渋の表情で振り返った。

 この一戦こそ大敗したが初の決勝進出と、創部23年目のチームが新たな歴史を築いた。「諦めずに食らいついて戦ってくれた。その姿を見た後輩たちが受け継いでもらえればいい」と指揮官。次こそ勝って甲子園切符を手にしてみせる。

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