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「次の五輪へ」「もっと」「もっと」「もっと」池江璃花子、100メートルバタフライ決勝逃し涙

スポーツ報知 2024年7月28日 22時20分

 パリ五輪に3大会連続出場の池江璃花子(24)=横浜ゴム=が、女子100メートルバタフライ準決勝で57秒79の全体12位となり上位8人による決勝進出を逃し、2大会ぶりに出場した個人種目を終えた。白血病の闘病による休養から復帰後、個人で戻ってきた五輪の舞台で決勝を逃し、涙に暮れた。復活へ確かな歩みを示したが、結果を求める勝負師の心は消えない。パリでの戦い、そして28年ロス五輪に向けた池江の挑戦を大谷が「見た」。

 思い描いた結果からは、ほど遠かった。池江がパリで目指したのは決勝の舞台。準決勝で全体12位に終わったレース後、プールサイドでは涙があふれた。直後のテレビインタビュー。「今のレースは…」と語り出すと、13秒ほど言葉につまった。駆け巡るさまざまな思い。「正直、頑張ってきた分だけ、無駄だったのかなって。そういうレースでした」。自分への失望が口をついた。

 予選から日本新を3連発し、5位入賞を果たした16年リオ五輪以来2大会ぶりに個人で挑んだ五輪。白血病の闘病から20年8月に競技復帰後、わずか4年で戻ってきた。21年東京五輪はリレー3種目に出場し、パリでまた一つ上った階段。端から見れば、奇跡的な復活を遂げている。ただ「決勝に残らないと、戦いは始まらない。スタート台には立てたけど、戦えずに終わってしまった」と池江。舞台に立てば必然的に池江の視線は上を向く。勝負師の心が、負けを許さなかった。

 「すごく頑張ってきたつもりだけど、この1年間の努力って何だったんだろうって」。昨秋からオーストラリアに渡り、五輪メダリストらとしのぎを削ってきた。背中はたくましさが増し、筋力も戻ってきた印象。まだ闘病前と比べると3キロほど細いというが、春には復帰後ベストの57秒03をマークしている。気持ちの整理がつかないレース直後、自らの努力を否定したが、渡豪してまだ1年弱。小さくとも成長は認めてほしい。

 個人で世界との差を痛感したパリ五輪。今大会はまだリレーでの出場を残すが、28年ロス大会に向けた戦いがまた始まる。自分と周囲への甘えを捨て、覚悟を持って渡ったオーストラリア。努力を4年継続すれば、納得の結果を得るだろう。「次の五輪へ目標を立てて、その目標をしっかりクリアできるように。もっと高い目標を立てられるように、もっともっと努力していかないといけない」。そう語る池江の目は真っ赤なまま。ただ、失望は消え、真っすぐに4年後を見ていた。(大谷 翔太)

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