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【パリ五輪】第3日まとめ…詩の涙で兄・一二三は意地の金、スケボーで14歳が金、フェンシング初の金

スポーツ報知 2024年7月29日 7時1分

◆パリ五輪 第3日(28日)

 パリ五輪第3日は絶望と歓喜の間で感情が揺れ動く1日となった。列島に衝撃が走ったのは女子柔道52キロ級だった。連覇を狙った阿部詩(パーク24)が2回戦で消えた。第1シードのケルディヨロワ(ウズベキスタン)に谷落としで一本負け。ぼうぜんとした様子で畳を下りると、その場に崩れ落ち、コーチの胸にしがみつき、大きく声を上げ泣き叫んだ。

 「妹が負けてしまって僕自身も苦しい一日になったけど、妹の分まで兄が頑張らないと、という気持ちで頑張った」兄の男子66キロ級で阿部一二三(パーク24)が、連覇を達成した。エモマリ(タジキスタン)との準々決勝では試合中に鼻血が出て、2度も畳を下りるアクシデントがあったが、合わせ技で一本勝ち。準決勝も初めて延長戦に突入した直後、払い腰で技ありを奪って仕留めた。決勝も制し、日本男子5人目のV2を決めた。

 スタンドで見守った詩は、兄が金メダルを獲得した瞬間、顔を覆って泣き、目を赤くして拍手を送った。2回戦敗退した時は、声を上げて泣き崩れたが、約7時間後、今後は兄の快挙を喜ぶ涙に変わった。

 女子の団体競技では、バレーボールとサッカーは明暗。バレーボール女子1次リーグB組初戦が行われ、世界ランク7位の日本は、同4位のポーランドに敗れた。日本は第1セットで古賀紗理那(NEC)のバックアタックが炸裂したが、第2セットから3セット連続で失った。

 そして「なでしこジャパン」のサッカーは、ブラジルを相手に劇的な逆転勝ちを収めた。1点を追う後半アディショナルタイムに主将のDF熊谷紗希(ローマ)が同点PKを蹴り込むと、さらに19歳のMF谷川萌々子(ローゼンゴート)が勝ち越しのロングシュートを決めて、2試合を終えて1勝1敗とした。

 体操女子は開幕前に宮田笙子(順大)の喫煙と飲酒が発覚して揺れたが、好発進した。日本は団体合計162・196点で5位につけた。目標だった160点台を大きく上回り、2021年東京五輪銅メダルの英国を抑え、出場12チーム中、上位8チームが進める決勝に進出した。

 五輪直前、思わぬ形で注目を浴びた体操女子。五輪代表選考会を兼ねた全日本&NHK杯で2冠を制したエースで主将だった出場を辞退。チームの柱だった選手が突如抜けた。全員、事前合宿地のモナコで宮田からもらった赤と白のストーンがついたヘアピンをつけて大一番へ挑んだ。田中光強化本部長によると、宮田が抜けたことで、選手の演技順を何度も組み替え、オーダーミスが出たという。それでも一致団結し、ハプニングを乗り越えた日本女子。平均年齢17・5歳の若さと勢いで、堂々と演じ切った。

 日本時間の深夜から未明にかけては、メダルラッシュとなった。スケートボードの女子ストリート決勝が行われ、初出場14歳の吉沢恋(ここ、ACT SB STORE)が272・75点で金メダルを獲得。15歳の赤間凛音(りず)が265・95点で銀メダルを獲得した。

 さらに競泳男子400メートル個人メドレーの決勝では、初出場の松下知之(東洋大)が4分8秒62で銀メダル。自己ベスト1秒42更新する泳ぎで、今大会競泳の日本勢メダル1号となった。

 そして未明の日本にさらなる吉報が届いた。フェンシング男子エペ決勝で、21年東京五輪団体金メダルの加納虹輝(JAL)が、日本フェンシング界初の個人金メダリストに輝いた。決勝で地元のヤニック・ボレルを15―9で破り、フェンシングが国技のフランスで地元選手を倒し、新たな歴史を刻んだ。

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