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【パリ五輪】 「ラッキーガールが現れた」大竹七未氏が評価した19歳のスーパーゴールでなでしこジャパンが劇的逆転勝ち 

スポーツ報知 2024年7月29日 5時30分

◆パリ五輪サッカー女子 ▽1次リーグ第2戦 日本2―1ブラジル(28日、パルク・デ・プランス競技場)

 サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」が女子ブラジル代表に2―1で逆転勝ちした。

 前半アディショナルタイム(AT)1分にPKのチャンスをFWW田中美南が失敗し、前半は0―0で折り返した。後半11分にブラジルFWジェニフェルに先制点を許す苦しい展開。後半25分にMF清家貴子、後半35分にはMF谷川萌々子と千葉玲海菜を投入し、システムを3バックから4バック気味に変更した。後半44分、谷川がペナルティーエリア右でドリブルで切り返し、ブラジル相手にハンドがあったとしてPKを獲得。後半AT2分に主将のDF熊谷紗希が冷静に右へ決め、土壇場で同点に追いついた。さらに後半AT6分に19歳の谷川が劇的逆転ゴールをたたき込んだ。

 なでしこジャパンは、1―2で逆転負けした初戦のスペイン戦(25日)に続く2連敗を回避。元日本女子代表FWの大竹七未氏(49)は「なでしこジャパンの底力を見た」と高く評価。起死回生の2ゴールに絡んだ19歳の谷川については「ラッキーガールが現れた。新しいスターになる実力を持っている」と期待を込めて話した。

 女子サッカーは12チームが3組に分かれ、各組2位までと3位のうち成績上位2チームの計8チームが準々決勝に進出。日本は1次リーグ最終戦(31日、日本時間8月1日)でナイジェリアと対戦する。

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 なでしこジャパンの底力を見た。

 絶体絶命のピンチで、谷川という「ラッキーガール」が現れた。終了間際にPKを奪い、さらに決勝のスーパーゴールを決めた。「ラッキーガール」という格を超えて、なでしこジャパンの新しい「スター選手」となる実力を持っている。

 キックの精度が抜群で、しかも強いボールが蹴れる。判断力、パスセンス、ボールキープ力にも優れている。サイズ(168センチ、58キロ)があり、体にバネがあるから、外国人選手にも当たり負けしない強さもある。

 ゴールに直結したふたつのプレーは、谷川の良さを象徴していた。

 同点につながるPKを獲得したプレーは、ペナルティーエリアの中で冷静に切り返したことで、ブラジルのDFは全くついていけなかった。転倒してハンドのファウルを誘ったドリブルはスピードとキレ、技術の高さがあった。

 決勝のロングシュートは、さらに見事だった。ブラジルGKのポジションを一瞬で判断し、ワンステップで強くて正確なキックを蹴った。ワンステップであれだけ強いボールを蹴れる女子選手はそういない。

 後半35分に谷川が入ってゲームが一気に締まった。攻撃力だけではなく、パスコースの切り方がよく、守備でも効いていた。短い時間で、しかも、大事な場面で存在感を発揮した。ワクワクする選手だ。

 谷川が獲得したPKを成功させた主将の熊谷は、さすがだった。失敗すれば1次リーグ敗退がちらつく中、冷静に決めた。プレッシャーに強く、メンタルが強じんだ。だからこそ、なでしこジャパンのキャプテンを務めているということを改めて証明してくれた。

 前半にPKを失敗している田中は蹴りづらい。PKキッカーは最初に田中、もし、失敗して次の機会があれば熊谷、という取り決めがあったと思う。ベンチを含めての勝利だった。

 右サイドの清水、左サイドの北川、そして、セットプレーを担う藤野と主力の3人が故障で欠ける苦しい状況だ。ナイジェリア戦、さらには決勝トーナメントに向けて、谷川ら若手が勢いよくチームを引っ張り、熊谷ら経験のある選手が若手を支える戦い方をするしかない。メダル獲得を目指して、なでしこらしく、泥臭く戦い続けてほしい。(元日本女子代表FW、KNJフットクラブ代表)

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