Infoseek 楽天

【パリ五輪】加納虹輝がエペ個人初の金メダル獲得 5円玉を的確に突いて磨いたフェンシングは「趣味、特技、ストレス解消」

スポーツ報知 2024年7月29日 5時46分

◆パリ五輪 第3日 ▽フェンシング 男子エペ決勝(28日、グラン・パレ)

 日本フェンシング界に、新たな歴史の1ページが刻まれた。男子エペ個人で、加納虹輝が同競技個人で初の金メダルを獲得した。

 身長173センチと、フェンシング選手としては大きくないものの攻撃的なスタイルで世界の頂点に立った。幼い頃から、抜群の運動神経で「ハイハイの時期がすごく短かった」と父・政光さん。生後8か月で歩き、3歳からは体操に取り組み、小5の時に出場した西日本ジュニアでは平行棒で第3位。体操男子で23年世界選手権団体金メダルの千葉健太(セントラルスポーツ)を上回っていた。自転車に乗れば補助輪など必要ない。母・貴子さんは「4歳の時に、1時間くらいで乗れました」と仰天話も明かした。

 中学時代までは無名。努力家は、自宅3階の和室にスポーツジムから1枚500円で譲り受けたストレッチマットをはり、テープで四角い印を付けて自主練習の日々。部屋の照明からつり下げた糸の先端に5円玉をつけ、揺れ動くターゲットを的確に突く独自トレーニングも重ねた。

 フェンシングで最も大事な剣はどこに行くにも常に一緒。中学生の頃には、スキー場に行った時でさえ、父が会社で製作した約30センチのオリジナル剣を持参。毎日握り、操る感覚を研ぎ澄ませた。性格は極度の負けず嫌い。貴子さんは「一番不器用。だからこそ、負けたくないんだと思う」。父は「趣味フェンシング、特技フェンシング、ストレス解消フェンシング」と息子を語る。

 高校から山口の岩国工業高にフェンシング留学すると、一気に飛躍。初出場だった21年東京五輪は、団体決勝でアンカーを担い、金メダルポイントを挙げた。3年後、今度は男子エペのエースとして、初めて個人での快挙をなし遂げた。

この記事の関連ニュース