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【パリ五輪】体操男子日本、王座奪還を果たした精鋭たちの原点はアテネ五輪 受け継いだ伝統

スポーツ報知 2024年7月30日 5時56分

◆パリ五輪 第4日 ▽体操男子 団体決勝(29日、ベルシー・アリーナ)

 男子の団体決勝で、予選2位通過した日本は、合計259・594点で金メダルを獲得。2016年リオ五輪以来、2大会ぶりに団体で五輪王者に返り咲いた。予選首位通過した最大のライバル・中国を最後に逆転して、王座奪還を果たした。

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 パリ世代は、幼少期に2008年北京五輪を見て育った。エース・橋本大輝(セントラルスポーツ)は、6歳の頃、五輪金メダリストになった冨田氏に握手をしてもらい、「むちゃくちゃうれしかった」。手の感覚を鮮明に覚えている。サッカー、野球と続かなかった萱和磨(セントラルスポーツ)は、アテネ大会を見て「やる」と体操の道へ。冨田氏に憧れ、ジュニア時代にはTシャツにサインをもらった。岡慎之助(徳洲会)も「五輪」と言えば「アテネ」だと語る。

 アテネ五輪のラスト鉄棒で着地を止めた冨田氏は、順大で橋本大輝、萱和磨、谷川航(いずれもセントラルスポーツ)を指導。橋本とは21年東京五輪でともに個人総合と鉄棒で2冠を達成した。4年間見て、橋本の体操の魅力は「ダイナミックに動けて、体をコントロールすることが上手。すごくどん欲な部分も感じられて、人のいいところを見つけるのも彼の良さ」だと実感したという。

 また、萱については「動きとかセンスを考えると普通の、一般の選手くらい。だが、ストイックさがすごくある。同じことをするということに長けてる。練習の中でも失敗をしないっていうことにこだわり持って、地道に地道にやってる選手」。

 谷川は「淡々とさが彼の持ち味。一喜一憂しない。今日悪かったからイライラして練習することはなく、『どこが悪かった』『次こうしよう』と基本的に前向きな捉え方で、改善点と解決策を見いだしていく。失敗したからイラっとするとかじゃなく、失敗した原因を見つけられたっていうようなマインドでずっと練習してると思う」という。

 一方、初出場の岡慎之助と杉野正尭(ともに徳洲会)は、同五輪でチームをけん引した米田功氏に指導を受ける。美しく、技一つひとつが一級品の岡を「フェラーリ」、杉野は「自転車」に例える。杉野は25歳で遅咲き初代表も「諦めずにガンガン漕いでくる。運転手はすごく優れてる」と語る。

 28年ぶりに団体で金メダルを獲得し、列島が沸いた2004年アテネ五輪。そこから20年が経った。あの時の金メダリストは指導者に。そして次は“教え子”たちが、「体操ニッポン」の伝統を受け継いでる。

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