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「どうなっちゃうんだろ」センバツ初戦敗退からチーム崩壊寸前 関東第一主将が苦悩乗り越え5年ぶり夏聖地へ

スポーツ報知 2024年7月30日 6時0分

◆第106回全国高校野球選手権 東東京大会▽決勝 関東第一8―5帝京(29日・神宮)

 7大会で決勝が行われ、東東京では今春センバツに出場した関東第一が帝京との打撃戦を8―5で制し、5年ぶり9度目の夏切符をもぎ取った。4―4で迎えた5回、打者一巡の猛攻で4得点。敗れた帝京は4失策と守乱が響いた。

 最後の打球を中堅手がつかむと、高校通算60本塁打を誇る関東第一の主将・高橋徹平三塁手(3年)がエース右腕・坂井遼(はる、3年)のもとへ笑顔で駆け寄った。歓喜の輪の中心で、仲間と体をぶつけ合い喜びを分かち合う。「ようやく決まった。うれしいです」と高橋は顔を紅潮させた。

 高橋が打線に火をつけた。1点リードの3回1死二、三塁から右中間への適時2点二塁打。「絶対打ってやろうと思ってて、体が反応した」と、二塁上で拳を突き上げた。6回にも三塁線を破る二塁打で2安打2打点。4回には三遊間のゴロを横っ跳びで好捕。主将が鼓舞したチームは一度は逆転されたが、同点の5回には打者一巡の猛攻で一挙4点を奪い突き放した。攻守で躍動した高橋は、今大会6試合で2試合連続本塁打を含む23打数11安打、2本塁打10打点、打率4割7分8厘。主軸としてチームを5年ぶりとなる夏の聖地へ導いた。

 春のセンバツでは初戦敗退。八戸学院光星を相手に守備が綻び、延長11回タイブレークの末に力尽きた。「全てがうまくいかなかった。どうなっちゃうんだろ」と苦悩の日々が主将を襲った。燃え尽き症候群に陥った選手に、個人の成績だけにこだわる選手…。チームは崩壊寸前だった。練習試合では「なんでそういう走塁するんだ」など味方を鼓舞するのではなく、責める声が飛び交った。

 そんな中でも、主砲はとにかく「自分が真面目に練習してればついてきてくれる」と信じた。そして、5月の宮崎で行われた4泊5日の招待試合で、チーム打撃を徹底しながら全勝。ようやく一つになった。高橋の表情にも明るさが戻り「(寮の)水風呂を(高橋が)壊したんですよ。今はシャワーで水浴びてます」と代将歩(だい・しょうぶ)外野手(3年)は笑顔で明かす。

 127チームの頂点に立ち春夏連続の甲子園へ。「(甲子園に)忘れ物をしてきたので取りに行きます」と高橋。春は歌えなかった校歌を全員で聖地に響かせる。(大中 彩未)

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