パリ五輪のフェンシング・男子エペ個人で、加納虹輝（２６）が、同競技個人初の金メダルを獲得した。加納が高校時代を過ごした山口県岩国市で下宿生活をサポートした元岩国市体育協会会長の伊達明彦さん（７９）は「フェンシングの本場で、フランスのスーパースターを倒す。本当にものすごい快挙ですよ」と同競技で個人初の金メダルをたたえた。
伊達さんは高校時代の加納を「礼儀正しくて笑顔が優しい。嫌いな人はいないんじゃないかというほどの好青年だった」と評する。「岩国駅前で下宿していたんですが、疲れて帰ってきても必ず洗濯と掃除をする。下宿先のおかみさんが『洗濯してあげる』って言っても自分でやるんですよね」。周囲への気遣いも人一倍。団体金メダルを取った東京五輪後は、高校時代の恩師・本間邦彦監督（現岩国総合支援学校教諭）の家に泊まり込み、１週間書けてお世話になった全員にあいさつ回りをしたという。
ただ地元では懸念材料もある。試合が深夜のため、パブリックビューイングがなかなか実現しないのだ。「個人戦は場所を探しきれなかったんで、団体では何としてもやりたい」と伊達さん。「深夜でもみなさんが見られるようなところ、いま必至に探してますよ」と苦笑いしていた。