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総合馬術、日本勢92年ぶり銅メダル 北島隆三「感謝しかない」快挙を生んだ交代2人の絆…パリ五輪

スポーツ報知 2024年7月30日 2時58分

◆パリ五輪 第4日 ▽馬術 総合馬術団体決勝(29日、ベルサイユ宮殿)

 【パリ(29日)=宮下 京香】総合馬術団体で大岩義明(nittoh)、戸本一真(日本中央競馬会)、北島隆三、田中利幸(ともに乗馬クラブクレイン)の日本が、銅メダルを獲得した。馬術の日本勢では1932年ロサンゼルス五輪の障害飛越個人で優勝した西竹一以来、92年ぶり2個目のメダル。北島の馬が左の後ろ足を負傷し、今朝の段階で走行がかなわず、補欠の田中と入れ替えた。これで20点減点され、暫定5位からスタートしたが、大逆転で表彰台に立った。

 補欠から繰り上がって出場した田中利幸(乗馬クラブクレイン)が、日本勢1番手で流れを作った。時間を超えて少しの減点はあったが、会心の走行。ベルサイユ宮殿に集まった大観衆に拍手でたたえられた。バトンを受けた戸本、大岩がほぼノーミスで思いをつないだ。メダル獲得に貢献した田中は「信じられないです。4人で取れたことが本当に奇跡的。最高なチームでした」とうれし涙を流した。

 馬場馬術とクロスカントリーをけん引した北島と田中は、15年より英国で1つ屋根の下に住んでいる。「ベッドは別ですよ」と北島はおどけるが、互いの全てを知り尽くす。田中は3種目の中で障害馬術が得意種目ではなかった。北島が競技開始前に丁寧なディスカッションで注意点を確認。「楽しく頑張って」と送り出したが、「息ができなかった」。キスアンドクライをうろうろした。それでも田中は、思いを継いで大舞台でやってのけた。

 一番近くで成長してきた仲間の雄姿を見つめ「ゼロで帰ってきた時は本当に助かった。メダルはみんな、チームのおかげ。感謝しかない」と北島は安ど、うれしさ、悔しさ…いろんな感情があふれて涙が止まらなかった。一時は諦めてもおかしくない逆境からはい上がっての銅メダル。交代した2人の絆が、92年ぶりの快挙を生んだ。

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