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体操ニッポン大逆転金に導いた橋本大輝、驚きの境地…逆転がかかった鉄棒の演技直前も「幸せ」

スポーツ報知 2024年7月30日 13時30分

◆パリ五輪 第4日 ▽体操男子 団体決勝(29日、ベルシー・アリーナ)

 男子の団体決勝で、予選2位通過した日本は、259・594点で金メダルを獲得。2016年リオ五輪以来、2大会ぶりに団体で五輪王者に返り咲いた。予選首位通過した最大のライバル・中国と最終種目を前に3・267点差に絶望的な点差をつけられたが、中国がまさかの2度の落下。最後にエースで21年東京五輪個人総合金の橋本大輝(セントラルスポーツ)が14.566点をたたき出して逆転した。以下、橋本の主な一問一答。

 ―率直な気持ち。

 「色々複雑な気持ちもある。まずは 金メダル取ったうれしさもあるんですけど、みんなにありがとうって、チームのみんなに最初に言えたことが幸せでした」

 ―前の中国選手の得点がなかなか出ずに待っている間、何を考えていたか。

 「もう自分の演技をするためだけに、いいイメージを頭の中でずっと描きながら集中してて。あの瞬間、すごく長い時間だったなって 思えたし、その時にニッポンコールをしてくれて自分はやりやすくなって、前向きになれて、僕は幸せだなって演技前に思っていました」

 ―着地の瞬間は。

 「ちょっと1歩動いてしまって悔しかったんですけど、 目の前でスタンディングオベーションで立ち上がってる観客の皆さんを見て、やっぱり、この瞬間、最高だなって思いましたし、 もう演技前から若干目がうるんでいて、着地を決めた瞬間に一気に、なんか、すごいグッて。言葉で表しづらくて申し訳ないんですけど、そういう思いがすごい出てきて、なんか幸せでしたね」

 ―あん馬の落下ミスの後、どういうことを考えていたか。

 「落ちた瞬間は、あ、自分のせいでまた金を逃したかもって思っていたんですけど、 戻った時には萱選手と杉野選手が『諦めんな、まだいけるぞ』っていうのをずっと言っていて。4月からすごい順風満帆かなって思えば、5月にけがをして、そこから代表合宿が始まって、多少自信を失いかけて、金メダルをどうやって取るのかも考えられないまま合宿を迎えて。練習場のドアを開ければ、みんながオリンピックで金メダル取りたいっていう練習をして、 その姿を見て僕はもう一度、このチームのために戦いたいって思えて、心をもう一度奮起させることができて。2日前の予選でまたうまくいかなくて、正直ちょっとしんどくて。でも、昨日のラストミーティングで、みんなで最後に話し合えて、やっぱりみんなのために戦いたい、みんなで金メダル取りたいって心の底から思えて、気持ちを切り替えて、 今日はどんなことがあっても最後まで、やるっていう強い思いを持って床運動の演技台に立って最後まで戦えた。

 最後にオーダー(演技順)を出すのも、多分、先生たちも迷って、僕を最後にしてくれて、演技前にはみんなの思いを背負って戦いたくて。みんなに1人ずつ、 ちょっと弱めに背中たたいてくださいって(お願いした)。1番(力が)強かったのは萱選手で、だからこそ、僕は萱選手のために(金メダルを)とりたいって思いがすごい強かった。みんなで(金メダルを)取りたいって思えて、全員に頼んで背中をたたいてもらって、 最後、コーチ陣の方にも背中をたたいてもらって。僕は本当にみんなにありがとうって言いたいです。心の底から。みんなは僕にありがとうって言ってくれるけど、みんなのおかげで橋本大輝がもう一度奮起できた。今日はこれだけ言いたかったです」

 ―団体の金メダルはどうか。

 「マジでうれしいっすね。本当に。なんか1人で取るもの(メダル)と違って、横を見ればみんなが笑ってて、みんながハグして、さっきハグしたのに、なんかもう一度ハグしたくなったりとか、握手したくなったりとか、団結したものをさらに深めてくれるものだったし、さらにみんなを上に行かせてくれる金メダルなのかなって思えたので、個人総合で取ったことない気持ちが 出てきました」

 ―鉄棒の演技前に、ニッポンコールがあった。怖いという自分との戦いはあったか。

 「若干やっぱり怖いですね。演技前は。東京の時もそうでしたし、自分の演技でメダルの色が決まってしまうのは 正直しんどかったんですけど、でもそれを最後、杉野選手も岡選手も感じながら戦っていく姿を見て、なんで初代表2人はこんなに強いんだ、やべえなって思って。それを見たら、俺はみんなのために戦うことを決めたんだから、弱い気持ちは捨てようと思って、演技台に上がることを決意して。演技前は集中してただけなんで。みんなの思いを背負って戦えたこの瞬間は幸せでした」

 ―新しい歴史をつくれたか。

 「つくれました」

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