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男子81キロ級・永瀬貴規が連覇!「まだ信じきれてないです」群雄割拠の階級で五輪史上初の2大会連続金メダル…パリ五輪

スポーツ報知 2024年7月31日 0時47分

◆パリ五輪 第5日 ▽柔道(30日、シャンドマルス・アリーナ)

 男子81キロ級で永瀬貴規(旭化成)が2連覇を果たした。準々決勝で世界ランキング1位のマティアス・カス(ベルギー)を破るなど4試合を勝ち上がった。気合の表情で臨んだ決勝では世界選手権3連覇中の強敵タト・グリガラシビリ(ジョージア)と激しい組手争い。1分52秒、谷落としで技ありを奪うと、さらに2分48秒、谷落としで一本勝ち。世界の層が厚い81キロ級での五輪連覇は、史上初の快挙となった。勝利後は「まだ信じ切れてないですけど、ここまでやってきて間違ってなかった。ずっと勝てない時期が続いて、つらい日々で…。周囲の人に支えられてここまで来られた。感謝感謝です」と満面の笑顔で振り返った。

 永瀬が群雄割拠のトーナメントを勝ち抜いた。準々決勝でカスに延長の末に大外刈りで技ありを奪って優勢勝ち。準決勝はアントニオ・エスポジト(イタリア)を寝技で仕留め、決勝も制した。柔道日本勢の連覇は9人目で、男子では6人目。また、16年リオの銅から3大会連続でメダルを獲得した。3大会連続メダルも男子で96年アトランタから3連覇の野村忠宏、女子で92年バルセロナから5大会連続の谷亮子に続き3人目だ。

 世界王者として臨んだリオ五輪で銅メダルに終わり、悔しさをバネに東京五輪で金メダルに輝いた。当時は27歳。達成感は大きく、パリ五輪を目指すかどうかはすぐには決められなかった。故郷の長崎に帰り、金メダルを報告して回る中で「パリでも頑張ってね」と期待の声を多く受けた。「もう一度、あの時の感動を味わいたい」と3度目の舞台を目指す覚悟が固まった。

 東京五輪を最後に国際大会の優勝から遠ざかった。世界選手権では22年から2大会連続で銅メダルを獲得。安定して表彰台に立ち、昨年8月に代表に内定したが、優勝を経験していない悔しさは残った。今年に入り、自身の昔の試合の映像を見返した。3月上旬のグランドスラム(GS)タシケント大会は3位だったが「パリに向けてどんな形でもいいから勝ち切りたい」と強行日程を選択。同下旬のGSアンタルヤ大会へ連戦し、五輪前最後に優勝を飾って弾みを付けた。

 五輪王者の肩書きが付いたことで、これまで以上に意識していることがある。稽古が終わると、自らコーチやチームメートに「今日はどうでしたか」と話しかけ、気になった点を相談する。「もしかしたら、『金メダリストだからあいつは分かっているだろう』と思われる方もいるかもしれない。自分を客観的に見る材料を率先して聞くことが成長につながる」との考えからの行動だった。

 メダル獲得もリオ銅、東京金と3大会連続だ。「リオは若さや勢いで突き進んだ大会。東京はリオのリベンジを掲げた大会。今回はこれまでの経験を生かしつつ連覇に挑んだ大会」。過去の経験の全てが、永瀬の連覇を支えた。(林 直史)

 ◆永瀬 貴規(ながせ・たかのり)1993年10月14日、長崎市生まれ。30歳。旭化成所属。小学1年から柔道を始め、筑波大で13年ユニバーシアード優勝。グランドスラムは13年東京で初優勝し24年アンタルヤまで計7度制覇。世界選手権は15年優勝、22、23年銅。五輪は16年リオ銅、21年東京金。趣味はテレビ観賞で、好きなタレントは「くりぃむしちゅー」。右組み。182センチ。

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