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BMXの中村輪夢「絶対にやり返したい」東京大会と同じ5位に「こんなところでは終われない」…パリ五輪

スポーツ報知 2024年8月1日 1時49分

◆パリ五輪 第6日 ▽自転車のBMXフリースタイル・男子パーク決勝(31日、コンコルド広場)

 【パリ(31日)=手島 莉子】男子決勝が行われ、日本勢唯一の出場で、2022年の世界選手権王者・中村輪夢(りむ、ウイングアーク1st)は90・89点で5位だった。 

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 メダルへ、また一歩届かなかった。輪夢は「また5位かって。表彰台に乗れなかったら何位でも一緒かなって」と淡々と話した。ただ成長もある。東京五輪では重圧から攻めきれず後悔が残ったが、今回は、乗り切った。果敢に攻めた中村を東京大会にはなかった大歓声が包んだ。「これがBMXの面白さ。気持ち良かった。やりきれたかな」とパリの青空に両手を高く上げた。

 こだわりが詰まったランだった。「誰もやっていないことをやりたい」と独創性で勝負。後方宙返りしながら車体を1回転させ、さらにもう1回転させる「バックフリップ・テールウィップ・トゥ・テールウィップ」に成功。習得するまで約2年、成功率「70%」という“世界初”の技を2本降りた。ただ、「ライン(滑るコース)をミスった」と得点は伸びなかった。2本目はミスなく「間の技が足りなかった」と90・89点にとどまり、ライバル達に抜かされた。

 東京五輪後、できる事は全てやった。23年夏は地元京都にある専用パーク「Wingpark1st」が2度目の改修に。近年の国際大会の傾向を元にジャンプ台の高さを1・8メートルから2メートルに変えるなど対策し、4勤1休の4日目にフィジカル練習も取り入れた。常設したサウナではファンの阪神中継を見ながらリカバリーし、後半にバテない体作りにも着手。最高の環境で最善を尽くしたが、五輪の表彰台はまだ先にあった。

 闘志の炎はまだ消えていない。「輪夢」の名前の由来は、車輪の部品「リム」。誕生翌日にテレビでソルトレークシティー冬季五輪が開催されており“五輪の夢”と込められた。

 「とりあえずこんなところでは終われない。絶対にやり返したいなって思います」。4年後の五輪はロサンゼルス。アーバンスポーツ大国で悲願成就へ、22歳は花の都から再スタートのペダルを踏んだ。

 ◆自転車BMXフリースタイル・パーク BMXフリースタイルの1種目で、制限時間内(1分の走行を2回)に「バンク」と呼ばれる斜面やスノーボードのハーフパイプに似た「ランプ」などが設置されたパークでジャンプや回転などの技の難易度や独自性を競い、100点満点で順位を決める。日本勢の女子は出場権を取れず、1枠の男子は中村が出場。

 ◆中村 輪夢(なかむら・りむ)2002年2月9日、京都市生まれ。22歳。BMXショップも経営している父・辰司さんの影響で3歳の時に競技を始め、5歳で大会に初出場。中学生でプロ転向し、3年時の16年に強豪が集う大会「Gショックタフネス」で優勝。19年度W杯総合優勝。同年UCI年間ランキングで日本男子初の1位。21年東京五輪では5位入賞。170センチ、64キロ。家族は両親と姉。

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