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井山裕太三冠、囲碁のオリンピック正式競技化は「近い将来、可能性はある。プレーヤーで出られれば」

スポーツ報知 2024年8月1日 14時3分

 「第32回関西囲碁将棋記者クラブ賞」の受賞者が1日に発表された。囲碁部門は井山裕太三冠=王座、碁聖、十段=。将棋部門は藤井聡太七冠=竜王、名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖=が受賞し、藤本渚五段に特別賞が贈られた。

 同賞は関西所属の棋士から、囲碁は2023年に、将棋は23年度に活躍した棋士を対象に選出される。井山は昨年は碁聖、王座の二冠を防衛。テレビ棋戦の竜星戦では最多の5回目の優勝を果たした。今年も4月に芝野虎丸名人を破って十段を奪還し、先月19日には芝野の挑戦を退けて碁聖を防衛するなど好調だ。

 8月3~5日に韓国で行われる「第10回全羅南道国手山脈国際囲碁大会世界プロ最強戦(通称・国手山脈杯)」出場のため、受賞発表に先駆けて大阪市内での表彰式に出席した井山は「収穫もあり、課題も見つかった1年」と振り返り、32回中の半分となる4年連続16回目の受賞には「今、関西の囲碁界は非常に強い棋士がたくさんいるので、それなりにやれているのかな。自分自身でコントロールできる賞ではない。評価していただけて、本当にありがたい」と笑顔を見せ「人生、山あり谷ありですが、谷の部分が深く長くならないよう精一杯頑張りたい」と35歳の国民栄誉賞受賞者は気を引き締めた。

 6月に中国で打たれた世界メジャー棋戦「爛柯(らんか)杯」は惜しくも準決勝で敗退したが、ベスト4で実力を示した。韓国での国手山脈杯は一力遼三冠=棋聖、天元、本因坊=、芝野と3人で日の丸を背負って戦う。今、パリ五輪の真っただ中。井山は昨年、“アジア版オリンピック”と呼ばれる杭州アジア大会(中国=囲碁男子団体・銅メダル)に出場した。「アジア大会は完全にスポーツの大会。国を挙げて戦う雰囲気を感じた。他の分野の世界でもトップに立たれている日本人も多いので刺激を受けました」と話した。

 囲碁、ペア碁のオリンピック正式競技化を目指す運動は長く続いている。実現には至っていないが「囲碁をやる国の数はどんどん増えて、世界的には広がっていると感じる。もちろん近い将来、そうなればいいなと思っている。日本では芸術・文化の要素が強いですが、海外では完全にマインドスポーツの位置付け。可能性はある」。実現の際には「プレーヤーで出られればいいですが」と笑いながら「自分自身は1年1年、1局1局が勝負ですが、そういうところでも長く戦える棋士になりたい」と夢をはせた。

 井山は2016年に史上初の囲碁全七冠を制覇。失冠したものの、17年に七冠復帰を果たした。将棋部門で受賞した藤井は伊藤匠叡王誕生で八冠から七冠へ転落し、渡辺明九段の挑戦を受けている王位戦(2勝1敗)でも苦しめられているが「七冠で『調子が悪い』と言われるのはつらい」と慮りながら「また強くなって戻って来られると思う。容易ではないと思いますが(八冠復帰の)可能性は十分ある」と感想を述べ、「(今後は)藤本さんのような世代と戦っていくことになるのでは」と予想した。

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