Infoseek 楽天

代表入り&イタリア挑戦&出産全て目標通り 「素晴らしい」全日本女子バレー大型セッターの恩師がエール

スポーツ報知 2024年8月3日 11時0分

 パリ五輪のバレーボール女子1次リーグ最終戦で日本は3日、決勝トーナメント進出をかけてケニアと対戦する。35歳で初の五輪代表セッターの座をつかんだ岩崎こよみは、落ち着きのある安定したトスで、日本をけん引している。岩崎が08年、パイオニアに入団当時から指導してきた吉田敏明氏(69)は「人生プランを実現して、よく頑張っている」とその活躍を見守っている。

 五輪で見せる岩崎のトスワークに目を細める。「うれしいですね。中継を見て応援しています」。02年世界選手権では米国代表監督として銀メダルを獲得し、現在は、中国・遼寧省監督の吉田氏は声を弾ませた。

 アタッカーだった岩崎がセッターに転向したのは、パイオニアに入って2年目だった。「セッターをやりたい」と最初から希望していたが、チーム事情から1年は転向できなかった。ただ、「175センチでアタッカーとしては身長が低く、世界と戦えないと感じていたようです。だが、日本人としては大型セッターになる。私も育てたいと思いました」と考えは一致した。

 実際にセッターの練習に臨んだ岩崎を見て、資質の高さに驚いたという。「身体能力は高く、ハンドリングもいいし、ボールの下に入るのも速い。指導したことをすぐに再現できた」。性格的にも「落ち着いていて、気遣い過ぎるくらい気配りができる」と適性がすぐに分かった。

 感心させられたのは「計画性」だ。「この時期にイタリアリーグに行き、この頃に日本代表に入り、何歳頃に子供を産みたい、と私に話した。自分の展望を持っていて、それを諦めずに実践しようとしていた」。09年、日本代表初選出、18年にはイタリアのフィロットラーノに移籍、21年5月には子供を出産。計画にあったものだという。

 14年、埼玉上尾の監督に就任していた吉田氏は、岩崎と再会した。同年、子供を出産したばかりの4大会連続五輪代表の荒木絵里香さん(39)がチームに加入。「子供を連れて練習や試合に臨んでいた姿を見たことが、その後の人生にプラスになったんでしょう」

 岩崎は東京五輪を目前にした20年に代表を外れたが、昨年4年ぶりに復帰した。「(外れた時は)がっかりした姿を覚えてます。でも、そこからまた諦めずに目標を実現した。素晴らしい」。教え子の活躍を、遼寧省の選手たちにも話しているという。「頑張れば、夢はかなうんだということを伝えています」(久浦 真一)

 ◆岩崎 こよみ(いわさき・こよみ)旧姓は富永。1989年5月1日、東京都生まれ。35歳。下北沢成徳高時代に、世界ジュニア選手権などに出場。2008年、パイオニア入団。09年のワールドグランドチャンピオンズカップで、日本代表デビュー。14年、パイオニアの廃部に伴い、埼玉上尾へ移籍。175センチ。

 ◆吉田 敏明(よしだ・としあき)1954年10月2日、山形県生まれ。69歳。順大―筑波大大学院。日立監督などを経て、2000年シドニー五輪後、米国女子代表監督に就任。02年世界選手権で銀メダル獲得。パイオニア、埼玉上尾の監督などから、23年、中国・遼寧省代表監督。

この記事の関連ニュース