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“ワタガシ”ペアが日本勢初、2大会連続銅メダル 東野「勇大くんと出会えて良かった」…結成13年「集大成」

スポーツ報知 2024年8月3日 2時30分

 混合ダブルスの3位決定戦が2日に行われ、21年東京五輪銅メダルの渡辺勇大、東野有紗組=BIPROGY=が、韓国の叙承宰(ソ・スンジェ)、蔡侑玎(チェ・ユジョン)に21―13、22―20で勝利し、2大会連続の銅メダルに輝いた。2大会連続のメダル獲得はバドミントンの日本勢で史上初。中学時代からペアを組んできたワタガシの13年目の集大成。パリ五輪を涙と笑顔で締めくくった。

 力を出し切った2人は、大きくコートに倒れた。2大会連続となる銅メダルを決め、熱いハグで互いをたたえ合った。渡辺は「もう1回表彰台に上がることができてとてもうれしい。先輩は声をかけ続けてくれました」。東野も「楽しく臨めた。本当に勇大くんと出会えて良かった」。感謝の言葉が真っ先に出た。涙の準決勝敗戦から約17時間。必死に前を向き、臨んだメダルマッチ。第1ゲーム(G)から闘志みなぎるプレーで相手を圧倒し、鳴り止まない「ニッポン!」コールに笑みがこぼれた。

 福島・富岡一中だった2012年に結成して13年目。1年前の11年3月11日には東日本大震災が発生し、2人は体育館で被災した。一度は故郷に帰り、約2か月後、新しい拠点となった内陸部の猪苗代町で、再びバドミントンに打ち込んだ。渡辺は「その時はつらいことばっかりだったけど、大人になってみて振り返ると大切な1ページだった」と当時を振り返る。国際大会にも出場して結果を残すようになり、北海道から一緒に同県内に引っ越していた母・洋美さん(61)には「勇大君となら五輪に出られる」と興奮しながら話してたほどだった。

 その頃から息づいている“あうんの呼吸”で流れを引き寄せるのは早かった。第1Gの開始直後は相手の粘り強さに苦戦したが、渡辺の鋭いスマッシュで5―5に追いつくと、流れが変わり一気に21―13。第2Gは一進一退の攻防が続きジュースとなるも最後は渡辺が力強く決めた。パリ五輪ラストゲームを笑顔で締めくくった。

 「集大成」と位置づけてきたペア結成13年目。28歳になった東野は、周囲には五輪を目指すのは、パリが最後になることを相談していたという。混合ダブルス界に大きな影響を与え、渡辺は「バドミントン界がもっと盛り上がってくれれば」と強くかみしめた。名コンビ、ワタガシが歴史を作った。(手島 莉子)

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