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GK小久保玲央ブライアン、「泣きじゃくる顔が小学生の時と一緒」小学時代の恩師がねぎらい…パリ五輪

スポーツ報知 2024年8月3日 20時59分

◆パリ五輪 第8日 ▽サッカー男子・準々決勝 日本0―3スペイン(2日、リヨン競技場)

 日本がスペインに0―3で完敗し、準々決勝で敗退した。ただ、日本史上初の24歳以上のオーバーエージ(OA)不在の戦いで、存在感を示したのは、GK小久保玲央ブライアン(シントトロイデン)。小学校時代にプレーしていた柏エフォートの小鷹康人代表がスポーツ報知の取材に応じ、当時を振り返った。(取材・構成=後藤 亮太)

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 サッカーを始めた時、小久保はゴールマウスに鍵をかける今の姿とは真逆のストライカーが本職だった。柏エフォートの小鷹代表は「身長も同じ学年の子と比べて頭一つ大きかったですし、脚力や跳躍力なども2学年くらい上の能力を持っていた。FWというポジションに彼は向いてたのかなと当初は思ってました」。特に足の速さは「ずば抜けていた」と同代表。“快足FW”という表現がピッタリの選手だった。

 その能力を生かし、周囲を驚かせる得点を決める一方で「(小久保が)点を決めていたら勝ったゲームはたくさんある」と苦笑いを浮かべたように、気持ちのムラが当時は見え隠れしていたと振り返る。業務提携する柏レイソルの下部組織へのセレクションも小学4年時に2度受けたが、いずれも不合格。FWとして、新たな扉を開くことは出来なかった。

 しかし、転機は突然やってくる。それまでトーナメントの大会などでは、体格と身体能力の高さを買われて、“PKストッパー”を務めることが何度かあった経緯もあり、柏が提携する数クラブの間で行われたGK講習会に小学5年の最後に参加。本職ではなかったが、身長170センチ近い小久保の潜在能力は目に留まり、その後、GKで柏U―15のセレクションに合格し、本人もGK挑戦を決断した。「その活動がなければ、彼が今の舞台に立っていることはないです」と小鷹氏。未来が変わった瞬間だった。

 柏U―15では、ほぼ初心者から急成長を遂げ、今回の五輪代表のように1学年下の大会にも、早生まれで参加できる点がプラスに働いた。実際に柏U―18に在籍していた18年1月は、1学年下とともにカタールで開催されたアルカス国際杯に参加。ベンフィカ戦で好セーブを連発すると、相手GKコーチの目に留まり、ポルトガルリーグで最多優勝を誇る名門からオファーを受けて移籍。今では五輪世代の守護神にまで成長した。

 今大会の雄姿を見届けた小鷹氏は、試合後に「お疲れさまでした。勝ちゲーム、負けゲーム、全てが自分の糧だよ」とLINEでメッセージを送信したという。大会前には「玲央を見て、ああいう選手になりたいとか、オリンピックに出て見たいとか、夢を与えられる人間になってもらいたいなと思います」と話していたが、大会を終え「テレビに映った、泣きじゃくる顔が小学生の時の玲央と一緒だったので、まだまだ彼には伸びしろがあると思います。悔し涙を、今後、うれし涙に変えてほしい」と願いを込める。“快足FW”から、日本の守護神へ―。五輪から、次はW杯の舞台へ、駆け上がっていく。

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