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けがを押しての勝利に早田ひな「金メダルより価値のある銅メダル」…パリ五輪

スポーツ報知 2024年8月3日 23時17分

◆パリ五輪 第9日 ▽卓球(3日、パリ南アリーナ)

 女子シングルス3位決定戦が行われ、世界ランキング5位で第3シードの早田ひな(日本生命)が銅メダルをつかんだ。同8位の申裕斌(シン・ユビン)=韓国=を4―2で下した。2日の準決勝では同1位の第1シード・孫穎莎(そん・えいさ)=中国=にストレートで敗れたが、21年東京大会の伊藤美誠(スターツ)に続く日本勢同種目2大会連続の表彰台入りを果たした。

 早田の試合後のコメントは以下の通り。

 ―銅メダル。今の気持ちは。

 「けがしたところが、部屋に戻っても、もう1人でお風呂も入れない、何も左手が使えない、そしてドライヤーとかも何もできないっていう状況の中で、いろんな方に支えていただいて。昨日も準々決勝の後は朝4時までケアしてもらったりとか、本当に皆さんができることを全てやってくれて、ここまで戻ってくることができたので。もちろん準決勝、あんな試合になってしまったのはすごく悔しかったですけど、この状況で銅メダル取れたっていうのは、金メダルを取るのと同価値の銅メダルだなと」

 ―第3ゲーム。7―10から、5連続得点。山場だったかなと。

 「そうですね。まず、あのタイミングで相手にタイムを取らせたっていうことが、自分の中では上出来だと思ってたので、これ(ゲーム)取られても、まだ1―2ですし、まだまだ自分の感覚も戻ってきてないので、それはそれでっていう感じで。本当に目の前にやるべきことに集中していたりとか。あとは、その次の4ゲーム目どうやって戦うかっていうのは、試行錯誤しながら試していたような状況だったので。でも、こう見えて決めれるボールっていうのは、しっかり相手を見て冷静に戦うことができたので、あのゲームを取れてよかったなと思います」

 ―早いタイミングで崩してフォアで決めていた?

 「そうですね。でも相手もやっぱり、多分メダルを取りたいって思ってるので、いつもの申裕斌(しん・ゆびん)選手のプレーよりは全てのプレーがもう緩い感じになってて、あんまり飛んできてないのかなっていうのは思った。もう狙えるんだったら、自分のフォアで勝負していって、その腕の負担っていうのも、やっぱバックを使うことで多少は負担が大きくなるので、(フォアに)回れるところは勝負していって相手に圧をかけてたっていう部分もあります」

 ―この状況でけがしたことを恨んだりはなかったですか。

 「そんなことなかったです。その3年間の中で、何かの行動か、何かが悪かったから神様に意地悪されたのかなって。何が原因かはちょっと私は分からないですけど、何かが悪かったんだろうなっていうのは思ったので。でも、逆に言うと、まだ乗り越えられる試練をある意味与えてくれたのかなって思ったので、今日もほとんど試合前はもう、全然練習できないような状況でしたけど、最後やるべきことは最後までやり切りたいと思ってましたし、最後までどんなことになっても諦めずにやるっていうことだけは、ここ何日間かで過ごしてたので、もう本当に私がこんなに、なんていうかな、考える暇がないぐらいっていうか、もう周りの方が本当に必死に動いてくださってたんで、そういった方のために最後までコートには立ち続けたいなっていうのは思ってました」

 ―女先生(石田千栄子さん)のドライブに恩返ししていきたいとおっしゃっていた。銅メダル獲得して。

 「そうですね。今日はやっぱりバックハンドで多少制限がかかってたので、まあ決めるならフォアしかなかったですけど。でも決め急いでも解決できるものではなかったので、自分をコントロールをしながら相手と戦って、でも打つときはやっぱり勝負しに行くっていう、そのバランスがすごくよかったのかなと思う」

 ―この10年間、一番近くで支えてくれた石田大輔コーチへの思いは。

 「まずは銅メダルになってしまって、チームの皆さんだったり、パリを一緒に金メダル取るために頑張ってくださってた皆さんには申し訳ないなって。銅メダルですいませんっていうような気持ちなんですけど。でも、普通に行けば、今日はもう絶対的な負けみたいなところから始まったので。

多分、これから誰に会っても銅メダルおめでとうって言ってもらえると、思いますし、今、私ができる最大限の恩返しができたかなと思います」

 ―銅メダルについて。

 「私はこの状況で取った銅というのは、金メダルよりも価値がある銅メダルだなと思いますし、けがは急性なので、どうしようもないっていうか、誰も恨めない、誰も悪くないものなので、本当に誰を恨むとかもないですし。今日も木原選手が最後、ユニホームを取りに行って、もう急いで戻ってきてくれたりとかで。今日、木原選手が誕生日なんですけど、その誕生日プレゼントで、ひなちゃんの銅メダルを見たいって言ってもらったので、リザーブの難しさだったり、人の気持ちを考えて行動する。その難しさを私は東京オリンピックの時に経験したので、こうやって銅メダル獲得できて見せられる、木原選手に見せられることが本当にうれしいです」

 ―勝利が決まった瞬間のこの感情は。

 「本当によく頑張った、左手。それしかないです。でも、やっぱりその左手にいろんな人の思いがやっぱり詰まってたかなって思ったので、いろんな人のパワーが力に変わったかなっていう」

 ―どう気持ちを立て直せたのか。

 「そうですね。やっぱりそれこそ木原選手ができることを色々励ましてもらって、練習の中でも関西弁のノリで、これできるんちゃう、いいやん、みたいな感じで、すごくもう褒めたたえてくれてたので、私にとっては本当に木原選手の存在があって本当に良かったなと思いますし、こうやってチームインナーの皆さんが入れなかったりとか、やっぱこうやってオリンピックで人数制限がある中での木原選手の支えだったりとか、他の方のドクターの方だったり、マッサー(ジ師)の方が最後までついてくれて、自分をどうにかしてくれてる。それだけで私は幸せでした」

 ―最後支えになったドライブへの誇りは。

 「そうですね、神様が意地悪してきたんですけど、その大事なフォアハンドドライブだけは残しててくれてたのかなっていうのは思ったので。もうフォアで最悪回り込むこともできますし、フォアでオールフォアで動くこともできるので、それだけは残してくれた。ありがたいなって。大変でした」

 ―団体に向けた思いは。

 「明日1日空くので、今日終わってからまたたくさんの方にケアしていただいて、すごい長い時間かけて多分サポートしていただくと思うんですけど、やっぱり一段落。銅メダル獲得できたことは良かったなと思いますし、ここからはあと、平野選手と張本選手はまだメダルを持ってるわけじゃないので、もうそのメダルに向けて、自分自身も、もう自分はどうなってもいいと思ってるので、とにかくメダルを取るために、そして3人で一致団結して金メダルを目指していきます」

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