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「顔向けできない」日本が2大会連続の団体銀メダル 最後は運命のルーレットで斉藤立がリネールに敗れる

スポーツ報知 2024年8月4日 1時56分

◆パリ五輪 第9日 ▽柔道(3日、シャンドマルス・アリーナ)

 【パリ(3日)=林直史】混合団体で日本が2大会連続の銀メダルを獲得した。初戦の2回戦は女子52キロ級で2連覇を逃した阿部詩が1人目で合わせ技一本勝ちするなど、スペインに4ー3で勝利。その後も総力戦で準々決勝のセルビアに4―1、準決勝はドイツを4―0で退けた。決勝は開催国のフランスに敗れて2連覇を許したが、けが人が相次いだ中で意地を見せた。

 東京五輪と同じ対戦となったフランスとの決勝は、まさに死闘となった。初戦は男子90キロ以下級で、村尾三四郎が内股で一本勝ち。続く女子70キロ以下級も高山莉加が制した。そして3戦目は男子90キロ超級、斉藤立がフランスの英雄リネールと激突した。個人戦の100キロ超級ではかなわなかった顔合わせ。斉藤も果敢に攻めたが、リネールに内股で一本を取られた。続く女子57キロ以下級で個人戦48キロ級金メダリストの角田夏実が上の階級の相手から得意のともえ投げで一本を奪い、金メダルにリーチをかけたが、続く男子73キロ以下級の阿部一二三、女子70キロ以下級の高市未来が連敗。3-3のタイで、勝負は抽選による決定戦にゆだねられた。

 決定戦の階級を決める“運命のルーレット”が示したのは男子90キロ超級、再び斉藤がリネールと対峙した。ゴールデンスコア方式のサドンデス。延長に突入し、互いに指導2枚ずつの瀬戸際で、最後はリネールの大内刈り。技ありが告げられ、日本は2大会連続の銀メダルとなった。斉藤は「今日勝たないでいつ勝つんだ。顔向けできないです」と言葉を絞り出した。

 阿部詩の雪辱への思いが、日本チームを勇気付けた。スペインとの初戦。トップバッターを託され、先に技ありを奪われたが、攻め続け、大腰を仕掛けた。一本の判定も取り消されて技ありとなったが、延長目前に袖釣り込み腰で技ありを奪って合わせ技一本。3―3となって抽選で選ばれた代表戦は70キロ級で出場した高市未来が制した。

 詩は7月28日の女子52キロ級2回戦で第1シードのディヨラ・ケルディヨロワ(ウズベキスタン)に敗れ、試合会場に響き渡るほど泣き崩れた。「この五輪という大会に本当にいろんな思いを持って、全てを懸けてこの一日のためにやってきた。負けた瞬間はあまり冷静に自分を保てることができなかった」。2連覇を逃したショックから6日。畳の上で再出発した。

 個人戦で過去最低のメダル2個と苦しんだ女子の奮闘も光った。63キロ級の高市は2回戦で代表戦を含め2勝。70キロ級の新添左季は左腕に痛みを抱えながら、準決勝まで2勝。78キロ超級の素根輝を左膝の負傷で欠く中で、70キロ超級の代役を務めたのは高山莉加。初戦から全4試合に出場し、準決勝では本来は78キロ超級の選手に寝技で一本勝ちした。

 自国開催の東京五輪では個人戦14階級のうち、9階級を制覇。優勝候補の大本命として混合団体に臨んだが、競技人口が日本の4倍とされる柔道大国フランスの底力に屈した。3年後、敵地での雪辱を誓った日本。個人戦でけが人も相次いだ中で、決勝も男子66キロ級の阿部一二三、女子48キロ級の角田夏実を本来の階級より上の選手にぶつけた。フランスへの雪辱は果たせなかったが、日本柔道の総力を結集した意地の銀メダルだった。

 ◆混合団体の試合形式 19チームが出場し、男女3人ずつ、計6人で競う。階級は男子が73キロ以下、90キロ以下、90キロ超、女子が57キロ以下、70キロ以下、70キロ超の3つ。先に4勝を挙げたチームが勝利となり、勝利は10点、優勢勝ちは1点、指導の差の勝利は0点とカウント。3勝3敗の場合はポイント差、それでも差がつかない場合は抽選で選ばれた階級でゴールデンスコア方式の決定戦を行う。

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