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【日本ハム】宮西尚生、前人未到の400H達成  長男・琉生くんが直筆手紙で祝福

スポーツ報知 2024年8月5日 6時0分

◆パ・リーグ ソフトバンク3×―2日本ハム=9回サヨナラ=(4日・みずほペイペイドーム福岡)

 日本ハム・宮西尚生投手(39)がプロ野球初の通算400ホールドを達成した。ソフトバンク戦で1点リードの8回に登板し、2/3回を無失点に封じた。前人未到の偉業を成し遂げた父へ、長男・琉生(るい)君(12)がスポーツ報知に直筆の手紙を寄せた。

 目の前に広がったのは、誰も見たことのない景色だった。日本ハム一筋17年、たどり着いた前人未到の400H。宮西は「やっと達成できた。呪縛から解放された」と万感の思いで記念のボードを掲げた。

 敵地で成し遂げた孤高の大記録。「(元)ファイターズの近ちゃん(近藤)とか有原、ホールドに貢献してくれたメンツの前でね。すごく思い出に残った」。現役最多、全試合救援では歴代1位の853登板を誇る鉄腕。特例での名球会入りもあり得る偉業に、新庄監督も「すごすぎてピンと来ない」と笑顔で最敬礼した。

 抑えて当たり前、打たれたら戦犯。リリーフという過酷な仕事に誇りを持ってきた。1年目のキャンプ初日、1学年下のダルビッシュの投球練習を見て心が折れた。「一番へたくそや。誰よりも練習しなあかん」

 「最後までもがく」とチェンジアップを投げ始めたのが38歳。オーバースローだった中学時代は「野球をやめたくなるぐらいストライクが入らへんかった」。打たれたくない一心で、独特なテイクバックから巻きつくように腕をしならせ、出どころを見えづらくする唯一無二のフォームに行き着いた。抑えるためなら変化を恐れなかった。

 海を渡る夢もあった。ボロボロの左肘には3度、メスを入れた。何度も引退が頭をよぎった。踏ん張れたのは息子からの「パパがエスコンで投げている姿を見たい」の言葉だった。自宅では「俺とキャッチボールは100年早い」と厳しいパパだが、2軍生活が増えた近年は子供たちとの毎晩のビデオ電話が活力だった。個人記録にこだわらなかった男が「初めてがむしゃらに取りにいきたい」と思ったのが400H。「もう、自分のためじゃないねん」。チーム、ファン、支えてくれた家族のために不死鳥のごとく復活を遂げた。

 今季は14登板で防御率0点台。「自分の記録は興味なくなった。このチームで日本一を目指したい」。試合後は肘にたまった水を注射で抜いて報道陣のもとへ。チームのために腕を振り続けた先に、金字塔が待っていた。(堀内 啓太)

 ◆宮西 尚生(みやにし・なおき)1985年6月2日、兵庫・尼崎市生まれ。39歳。市尼崎から関学大を経て、2007年大学・社会人ドラフト3巡目で日本ハム入団。1年目から中継ぎで21年までパ・リーグ最長の14年連続50登板。16、18、19年に最優秀中継ぎ投手。180センチ、80キロ。左投左打。年俸5000万円+出来高(推定)。

 ◆ホールド 中継ぎ投手が同点もしくはセーブがつく条件を満たす状況で登板して1死以上を奪い、リードを保つか同点のまま降板した場合に記録される。05年から導入。

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