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練習が嫌いだったサニブラウン 元五輪代表の恩師、大森盛一氏が明かした意外な素顔…パリ五輪

スポーツ報知 2024年8月5日 10時0分

◆パリ五輪 第10日 ▽陸上(4日、フランス競技場)

 陸上男子100メートル準決勝で、世界選手権2大会連続ファイナリストのサニブラウン・ハキーム(25)=東レ=は9秒96の自己ベストをマークしたが、決勝ラインの9秒93にわずか及ばず、日本勢92年ぶりとなる決勝進出とはならなかった。サニブラウンに初めて陸上を教えたのが、1996年アトランタ五輪1600メートルリレー5位で「アスリートフォレスト・トラッククラブ」の代表、大森盛一さん(52)。サニブラウンに出会った当時の印象や指導した日々、練習が嫌いだったという意外な素顔、今後への期待を語った。(取材、構成=手島 莉子)

 才能は、一目瞭然だった。大森さんは「アスリートフォレスト・トラッククラブ」の門をたたいた小学4年生の走りの第一印象を、「柔らかい足の接地と、足がすごく良い回転をしているなと思いました」と振り返る。良い回転とは、かかとがお尻につくほど上がり、大きく回っている状態。「みんなこれを目指して練習しますがなかなかできない」が、サニブラウンは最初からできていた。

 光るものはある。ただ、陸上に本気になる様子がなかった。100メートルを3本走る練習をすれば「1本目が終わった後に『お腹減った~』とパンを食べ始めるんです。その後2本目を走って『お腹痛い』と言って3本目をやらない。パン食べたからだろって(笑い)」。リレーの時は必ず2走起用。「ハキームは先頭で走っていると手を抜く。本人は本気で走っているつもりでも本気のレベルが勝手に下がってしまうんです…」。まだ順位がつかない2走は、常に前に人がいる。「これで手が抜けない」と笑った。

 実は大の電車好き。クラブに入った小学4年時、お台場に住んでいたサニブラウンは埼玉・浦和市の練習場まで、自分で電車の時刻、乗り換えなどを調べて通っていた。「『西浦和駅で何時に降りる』とかって一人でやっていましたよ。母ちゃんも連れてこないで自分で全部時間を調べて」と大森さんも感心。自分で調べ、実行することが好きだった。

 まだまだ、伸び代を感じる。世界選手権2大会連続ファイナリストだが、「もっとできるだろうなって思ってしまいます」。今大会、深夜3時5分から行われた準決勝は、テレビで観戦した。「『やっぱり五輪だ』って感じたと思います。五輪で入賞するのは難しいとわかったと思います。トレーニングをして、技術的にも一番良い、29歳、30歳あたりでやってくれると思いますよ」。28年ロサンゼルス五輪でのさらなる飛躍を、恩師は心から願っている。

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