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ツアーと違い3位にメダルライン 松山英樹、結果にこだわった「五輪仕様」のスイングでゴルフ男子初の銅メダル…パリ五輪

スポーツ報知 2024年8月5日 22時33分

◆パリ五輪 第10日 ▽ゴルフ男子(最終日=4日、ル・ゴルフナショナル=7174ヤード、パー71)

 4日に男子の最終ラウンドが行われ、3打差4位から出た松山英樹(32)=LEXUS=が、銅メダルをつかんだ。ゴルフ男子では初の表彰台。6バーディー、ボギーなしの65で回り、通算17アンダーとし、プレーオフで敗れて4位だった東京五輪の悔しさを晴らした。28年ロサンゼルス五輪に向けても「絶対に出たい」と意欲。世界ランク1位のスコッティ・シェフラー(米国)が62の19アンダーで金メダル。中島啓太(24)=フリー=は3オーバーで49位だった。

 表彰台でまぶしいほどの笑顔を浮かべた。プレーにシビアな松山が3位でフィニッシュした大会で、これほどまでにうれしそうにする姿はかつてなかった。「金メダルを取りたかったというのはすごく強い。でもこの銅メダルを取るために、東京では苦労した。銅メダルもすごくうれしい」。プレーオフの末に4位に終わった東京五輪の雪辱を果たし、日本男子に初のメダルをもたらした。

 メダルを取るための戦いに挑んだ。第1、2日ともに首位を守り、迎えた第3日は71で3打差4位に後退。ホールアウト後、いつも通り練習場へ。ここまではいつも通りの行動だったが、その先に変化があった。「珍しく結果にこだわったスイングをしていた。悪くても成績を出さないといけないことを4日間していた」と黒宮幹仁コーチ。ツアーでは一つでも上を目指す戦いだが、五輪は3位にメダルのラインがある。「4大メジャーと五輪は違う」と明かす松山は、スイングを五輪仕様に変えていた。

 変化はもう一つあった。パー3の2番で1メートルにつける好ショットでバーディーとし、4番から前半3連続で伸ばした。地元のギャラリーから送られる「ゴー、マツヤマ」、「ジャパン!」という声援は、後半に進むにつれて大きくなった。前回、初出場だった東京五輪は無観客。普段は1人のプロとしてプレーしており、国を背負って戦う期待も、重圧も感じた。マスターズ制覇を経験した松山も異変を感じた。

 「(手が)動かない」

 金の可能性を残した16、17番はパットが外れ、18番は3メートル強がカップの右縁をなめた。東京五輪金で、今季メジャー2冠のシャウフェレも、メジャー通算4勝のマキロイも重圧と闘っていた。そんな中でつかんだメダルは「(メダルを)持っていることで変わる部分はある」と自信につながった。さらに注目度の高い五輪を見て「これをきっかけにゴルフを始めてくれる子がいたらうれしい」と思いを語った。

 28年ロサンゼルス五輪。3度目の出場へ決意を即答した。

 「絶対に出たい」

 パリ大会は開幕約2か月前の6月まで明言しなかった松山が、次回へ向けて「4年間また頑張らないと」と繰り返した。ロス大会は、2月にジェネシス招待で優勝したカリフォルニア州リビエラCCで開催予定。日本代表として戦い、感じ、メダルを手にした。松山がまた強くなる。(宮下 京香)

 ◆松山に聞く

 ―最終日のプレーは。

 「終盤はパッティングもうまく決まってくれなかったが、結果として銅メダルを取れたので良かった」

 ―表彰式の感想は。

 「3位で(メダルを)もらうことなんて(ツアーでは)まずない。やっぱり隣に金メダルかけている人がいるんで、うれしい反面、悔しいような気持ち」

 ―国を背負い、戦っている。

 「トミー(・フリートウッド、英国)はフランスなのに応援されている。ロスでは(自分も)そうなるように頑張りたい」

 ―ゴルフは3度目の五輪開催。

 「東京の時は無観客でさみしい思い出だった。今週のギャラリーの熱量を見てると、ゴルフも五輪として認められてきているかな。楽しかった」

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