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中村獅童、「あらしのよるに」9年ぶりの南座再演に「初演の地に戻ってこられてうれしい」

スポーツ報知 2024年8月6日 14時7分

 歌舞伎俳優の中村獅童、中村壱太郎が6日、大阪市内で京都・南座の九月花形歌舞伎「あらしのよるに」(9月4日~26日)の取材会に出席した。

 オオカミとヤギの友情を描いた、きむらゆういち氏の同名ベストセラー絵本が原作。獅童が発案し、新作歌舞伎として2015年に南座で初上演。その後、歌舞伎座、博多座でも再演された。南座での再公演にあたりオオカミのがぶを演じる獅童は「9年ぶりに初演の地、京都に戻ってくることができて、非常にうれしく思っております」と笑顔。当時は前半に学生の団体が多かったが「退屈だと寝るじゃないですか。それが学生さんたちが最後総立ち。カーテンコールになって引っ込んできて、(尾上)松也君と『この芝居もしかしたらいけるかもしれないね』って話したことを鮮明に覚えています」と振り返った。

 絵本が題材だが、子供向けに演じることはなく、古典歌舞伎と同じように大人にも届くように演じている。今回、ヤギのめい役は壱太郎が初めて演じることになり、獅童は「松也君が『俺がいないのにやるのかって。壱(太郎)さんがやるんでしょう』って、この間も会った時に言ってました。『だけど、また僕はこの役やりますから』って言ってたけど、どうする?」と壱太郎に質問し、壱太郎も思わず苦笑い。初演を観劇した壱太郎は「松也さんがずっと演じて大切にされてこられた役だと思うので、その思いも大切に、この世界を存分に楽しんで演じたい」と意欲的だった。

 壱太郎は演じるにあたり原作も読み「オオカミとヤギで、絶対に相まみえないものが相まみえることってあると思う。絵本の中だけではなく、勝手な先入観や思い込みは普通に生活していてもあるし、凝り固まったものをニュートラルに、真っすぐ考えさせてくれる」と作品の魅力を語った。獅童も「自分は自分らしく、自分を信じてというのは、役者人生に当てはまる部分があるので、何度やっても真摯(しんし)な気持ちでやらせていただいている」と明かした。

 獅童は家に帰ると子どもたちが今作のDVDを見ていることも多く「一日芝居をやって家に帰って昔の映像が流れていると、ものすごく疲れるのでなるべく流さないでほしい」と本音をポロリ。それでも「作品のテーマや、大切なことっていうのは、これから彼らも少しずつわかっていくのかなと思います」と親心をのぞかせた。今作を自身のライフワークにしたい考えも口にし「若い子たちも、古典にも興味を持っていただけたら」とアピールした。

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