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ナ・リーグ打率首位は3割9厘の大谷翔平 首位打者最低打率記録は3割1厘…1968年をひも解く 

スポーツ報知 2024年8月6日 17時30分

 今季のナ・リーグ打率争いは1位の大谷翔平(ドジャース)が3割9厘、2位がL・アラエス(パドレス)が3割5厘で、この2選手を追うジャスト3割の選手が3人いる。規定打席に22不足のT・ターナー(フィリーズ)も一時の3割4分台から3割8厘まで落としてきており、最終的に首位打者が2割台になる危険性もあるような状況となってきた。(成績は5日・日本時間6日現在)

 首位打者の最低打率記録は1968年、C・ヤストレムスキー(レッドソックス)の3割1厘。当然この年のア・リーグの3割打者は彼1人しかいなかった。ナ・リーグも5人と決して多くはなく、この年は「投手の年」として定義づけられるシーズンだった。

 B・ルースが本塁打を量産し始めた1920年以降を、メジャーではライブボール時代と呼ぶ。いわゆるボールの質なども良くなって打球が飛ぶようになったことを意味するが、68年の防御率1位はナ・リーグがB・ギブソン(カージナルス)の1・12、ア・リーグもL・ティアント(インディアンス)の1・60。ギブソンの数字はライブボール時代となっての新記録、両リーグトップがともに1・60以下も初めて記録だった。

 現在は小刻みな継投で打者を抑え込んでいるが、両リーグ10球団制だった当時は各球団のエース級が中3日で投げまくっていた時代。昨年メジャー両リーグで35試合しかなかった完投数が897試合。全体の27・6%(昨年は0・7%)もあった。チームの完封数も10・5%(継投完封がほとんどの昨年は6・4%)にまで達していた。

 防御率だけでなくギブソンは16試合連続9回以上投げての15連勝を含め47回連続無失点、ティアントも42回連続無失点。ほかにもD・ドライスデール(ドジャース)が58回連続無失点の当時の新記録。D・マクレーン(タイガース)は1934年以来の30勝投手になるなど、各球団エースが君臨していた。

 投高打低を象徴するかのようにオールスター戦は1―0でナ・リーグが勝利。カージナルスとタイガースの間で行われたワールドシリーズでは第1戦、ギブソンがシリーズ新記録の17奪三振で完封勝ちした。

 米大リーグ機構は、あまりの投手有利に長年続けてきたマウンドの高さを15インチ(約38センチ)から一気に10インチ(約25センチ)に低くした上で、ストライクゾーンを狭めるなどした。1969年は両リーグ2球団ずつ増えたシーズンだったが、3割打者は、両リーグで18人に増えた。

 蛭間 豊章=ベースボール・アナリスト

 ※参考文献 1969年版「BASEBALL GUIDE」(スポーティングニューズ社)

 

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