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内村航平さん、大会MVPは52年ぶり3冠「慎ちゃん」!「すごい、うらやましい、悔しい、いろんな感情があります」…パリ五輪・コラム

スポーツ報知 2024年8月7日 7時0分

◆パリ五輪 第11日 ▽体操男子(5日、ベルシー・アリーナ)

 体操男子個人総合で2012年ロンドン五輪から連覇したスポーツ報知の特別コラムニストの内村航平さん(35)が6日、メダル4つを獲得した体操男子を総括。日本勢52年ぶり3冠含む4個のメダルを獲得した初出場の岡慎之助(20)=徳洲会=をMVPに選んだ。

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 大会も前半戦が終わり、長年にわたって「日本のお家芸」と言われる競技が終わりました。まず体操は、率直に終わっちゃってさみしいですね。そして「すごいものを見たな」という気持ちです。

 結果的には慎ちゃん(岡慎之助)が52年ぶりの3冠。すごい、うらやましい、ちょっと悔しいなっていう、いろんな感情があります。僕の中では間違いなく、大会を通して慎ちゃんがMVP。愛されてますよね、五輪に。次また同じ景色を見ようと思うと、全部が連覇になる。五輪で3つの連覇は僕も経験したことがないので分からない領域です。20歳の子がこれからどうなっていくんだろうという楽しみがあります。

 今大会で「新しい時代になったな」とも思います。代表には、(橋本)大輝と慎ちゃん、五輪王者が2人いますからね。もう、言うことない。「よくやってくれた!」という思いです。日本は過去、団体で五輪5連覇した黄金期【注1】があります。これからの世代は、何かでこの連覇記録を超えてほしい。そうなると、今大会で4連覇【注2】までつないだ日本勢の個人総合になるのかなと思います。

 今後、国内の大会に観客が増えてくるんじゃないかなと期待しています。みんな「少ない、さみしさがある」と口をそろえていました。今回圧倒的に結果を残したので、興味を持ってくれる人が増えることを願っています。そして、僕が04年アテネ五輪を見て「日本でも金メダルが取れるんだ」と思ったように、体操に夢を持つ子どもたちも増えてほしいなと思います。

 五輪になるとよりお家芸を背負う重圧を感じます。「金メダルを取って当たり前」と言われる中で、もう一つ、印象的だったのは柔道の混合団体です。まず、めちゃくちゃ面白かったです。自分が勝つことでチームが勢いづくし、負けてもまた勝てば勢いが戻せる。つないでいく流れの感じがすごく体操の団体決勝に似ているなと感じました。

 世界2位ですよ? でも、選手からは「すみませんでした」という言葉が出る。めちゃくちゃ気持ちが分かりました。12年ロンドン五輪の体操の団体は、4位から最後2位まで上がりましたが、もう僕の中では、銀メダルも4位も変わらなかったです。

 自分がお家芸の道を選んだ時点で、プレッシャーを背負い、1位以外求められていないし、自分もそれ以外は求めていない。どんなに周りに「2位でも頑張った」と言われても、本人はそう思えないんですよね。それがお家芸なんじゃないかなと思います。次の28年ロス五輪は金メダルを取ると思っています。

 今回の競泳は少し、厳しい結果になってしまいましたが、ここを一踏ん張りしてほしいなという思いです。若手の選手も出てきてるので、今回の経験を経て、4年後の活躍に更に期待しています。(体操男子個人総合12年ロンドン、16年リオ五輪金メダリスト・内村 航平)

 【注1】男子団体は、1960年ローマ大会から76年モントリオール大会まで5連覇を達成。

 【注2】男子個人総合は2012年ロンドン、16年リオデジャネイロ大会で内村航平が連覇。21年東京大会を橋本大輝が制し、日本勢が同種目4連覇。

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