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レース前にトップ選手たちと「どうする?」 世界に名が知れる「MIURA」が男子3千M障害五輪2大会連続決勝…パリ五輪

スポーツ報知 2024年8月7日 8時0分

 5日に行われた男子3000メートル障害予選で、2021年東京五輪7位入賞の三浦龍司(22)=スバル=が、8分12秒41の2組4着で2大会連続の決勝進出を決めた。決勝は8日未明に行われる。3年間で2回の世界選手権、海外転戦も多く経験し、確実な実力と自信をつけて臨んだ2回目の大舞台。前回入賞を超えるメダル獲得と日本新を目指す。2大会連続出場の青木涼真(27)=ホンダ=は8分29秒03の3組8着で敗退した。

 安心感あるレースで、まずは決勝のチケットを手に入れた。各組5着以内が決勝に進める予選で4着に入った三浦は「素直にうれしいです。一番の難所、予選を突破できてホッとする部分があります」とすがすがしい表情だ。序盤から昨年の世界選手権銅メダルのキビウォット(ケニア)ら3人がグンと前に出るレース展開にも冷静に対応してついていき、得意のラストスパートも生きていた。「予選にしてはレベルも高かったですが、最後の足のキレ、体が動く感覚がありました」とさわやかに笑った。

 東京五輪当時とは実力も自信も世界からの見られ方も別物だ。22、23年と世界選手権に出場し、23年のブダペスト大会では6位入賞。世界最高峰シリーズのダイヤモンドリーグも転戦し、この3年で確実に世界トップの仲間入りを果たした。この日の予選前の招集所、キビウォットや今季世界2位のフィレウ(エチオピア)らと雑談。「お互い、『どうする?』みたいな話の中で『(1000メートル)2分45秒くらいで行く』と言っていた」。トップ選手の会話に自然と加わる22歳は世界の「MIURA」だった。

 情報収集はアドバンテージになる。上位選手についていけば通過は堅い。ハイペースな中でも気持ちを固めてついて、盤石に決勝切符を手中に収めた。大会に挑む気持ちは、前回の“チャレンジャー”ではない。「メダル(を目指す)っていうのが違う。あの時は勢い任せでしたが今は着実に力がついて勝負、駆け引きができる中でのレースです」。頼もしさが増した。

 東京五輪のメダルラインは8分11秒45。三浦の自己ベストは8分9秒91、シーズンベストは8分10秒52と表彰台も視界に入る。1周4個の障害と、水濠(ごう)を越える特殊種目。レースで何が起こるか分からないのが“サンショー”だ。「日本記録は狙いたいですが、展開によってはそれよりも優先すべきことがある」。勝負に徹する覚悟は決まっている。日本時間8日未明、三浦が歴史を塗り替える。(手島 莉子)

 ◆メダルライン 21年東京五輪のメダルラインは8分11秒45(金メダルは8分8秒90、銀メダルは8分10秒38)。三浦の自己ベストは8分9秒91、シーズンベストは8分10秒52で視野に入る。また昨年、6位入賞を果たした世界選手権(ブダペスト)のメダルラインは8分11秒98。三浦とは1秒72差だった。

 ◆三浦 龍司(みうら・りゅうじ)2002年2月11日、島根・浜田市生まれ。22歳。陸上は小学1年から。京都・洛南高から順大に進み、21年日本選手権は、3000メートル障害で8分15秒99の日本新(当時)で初優勝。同年東京五輪予選でも8分9秒92の日本新(当時)。五輪決勝では7位入賞。23年6月のダイヤモンドリーグで8分9秒91で日本新を更新。同年世界選手権6位入賞。今春からスバル所属。168センチ、56キロ。

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