【ハノイ（ベトナム）６日＝加茂伸太郎】元日越・越日特別大使で歌手・俳優の杉良太郎（７９）が、このほどクアンナム省の世界遺産・ホイアン旧市街を訪れ、観光名所・日本橋（来遠橋）修復落成式に出席した。同市には８年ぶりの訪問となったが、２６年に及ぶ交流の功績がたたえられた。自身が陣頭指揮する「ベトナム国民の命と健康を守る」プロジェクトも始動。ハノイ市内でトー・ラム書記長兼国家主席らに成果を伝えた。
今回の訪問で始動した「ベトナム国民の命と健康を守る」プロジェクトは、同国でＢ型肝炎ウイルスなどの肝疾患の患者が世界に比較して多いことから、日本の検査と治療法、医療体制を支援していく事業。ピースウィンズ・ジャパンなど日本の医師・医療支援検査チームの支援を受け、西北部のイエンバイ省で１日かけて無料の肝臓検査を実施した。２８０人が肝臓の硬さや脂肪量を測定する検査を受け、そのうち９５人がより詳細なエコー検査に進んだ。
結果報告を受けた杉は「日本では見ることのないエキノコックス症という、肝臓の中に寄生虫がいる方も現れた。大変驚き、この事業の重要性を思い知らされた。（何事も）やらないと分からないし、やって良かった。医師の方々に頑張っていただいた」。ベトナムには毎年のように訪れており、今後に向けて「引き続き、医療チームを派遣していきたい」と継続支援を誓った。
ダオ・ホン・ラン保健大臣らとの意見交換会後、トー・ラム書記長兼国家主席と外国の要人として初めて会談。公安副大臣時代から親交がある同氏に、プロジェクトの成果を伝えた。