◆JERA セ・リーグ 巨人0―5広島(6日・東京ドーム)
投手をやってると、耳にタコができるくらい言われる言葉がある。
「先頭打者は全力で打ち取りにいけ」
「余計な四球は野手のエラーと同じ」
「初球の入り方には細心の注意を払え」
「制球ミスをしても低めに投げればけがは少ない」
俺が何を言いたいか分かるよな。前に書いた4つの約束事を、山崎伊はすべて破った。先頭打者の秋山に二塁打を打たれた初回。1球もストライクが入らず、先頭の菊池を歩かせた5回。ともに初球の甘い球を坂倉と末包にホームランされた6回。これだけ同じミスを繰り返せば結果は見えている。
「自信過剰ではないか」と疑いたくなるほど、不注意な投球だった。意図しているようには見えないが、長い指のためにストレートが微妙に変化するアドゥワに「低めに投げよう」とする意思が見えたのとは対照的だった。
山崎伊は「リトル菅野」とも呼べる投手だが、残念ながら現段階では菅野とはスケールが違う。菅野には投球に細心の配慮があるのに対し、山崎伊は気持ちの強さがあるが、それが時に災いの元になる時がある。「自信過剰」とはそういうことだ。ともに9連戦の初戦の直接対決3連戦。巨人にとっては「1つ勝てばOK」の広島に初戦を取られたのは痛い。(スポーツ報知評論家・堀内 恒夫)