Infoseek 楽天

石川佳純さん 旗手の重圧、個人戦敗退「切り替えて乗り越えた」江村美咲に拍手 フェンシング女子サーブル団体一丸銅メダルに感動…パリ五輪

スポーツ報知 2024年8月8日 7時0分

 スポーツ報知特別コラムニストで卓球女子3大会連続メダリストの石川佳純さん(31)が初めて外から見て感じた五輪を語る「エースの思い」。第4回のテーマは、3日に開催国フランスを破って銅メダルを獲得したフェンシング女子サーブル団体。個人3回戦敗退から立て直したエース・江村美咲(25)=立飛ホールディングス=の奮闘やチーム一丸となって戦う姿に感銘を受けた。

 フェンシングの女子サーブル団体は、チーム一丸となって戦っていた姿が印象的でした。負けている場面で尾崎世梨さんが挽回のきっかけを作ったり、その後で高嶋理紗さんが6連続ポイントを挙げたり、アウェーの中で劣勢を何度も取り返していって、最後は江村さんが攻めきって勝ちきった。お互いを補い合い、勝利に向かって頑張った結果が、サーブル種目で初めてのメダルにつながったんだと思います。

 私も初めてのメダルは12年ロンドン五輪の団体でした。準決勝のシンガポールにはこれまでずっと負けていましたが、五輪の舞台で勝てばいいんだという気持ちでチャレンジャーとして相手に向かっていった結果、勝つことができました。今回のフェンシングも、相手は世界ランク1位のフランス。そこに果敢に攻めていったことは本当に素晴らしかったです。

 江村さんは3回戦で敗退した個人戦で、試合の直後になかなか言葉が出てこなかった中でも「思い通りに足が動かなかった」と、試合を振り返り、しっかりとインタビューに答えてくれました。今回は日本選手団の旗手をされていて、私も開会式での日本選手団の姿をセーヌ川の上から見ていました。旗手は日本代表の顔でもあります。私も東京五輪で選手団の副主将というすごく貴重な経験をさせていただきましたが、いつも以上に責任感も感じた大会でした。ですから、江村さんも大きなプレッシャーがあって、思う通りのプレーができなかったところもあったのかもしれません。

 江村さんには大会前にもインタビューをさせていただく機会がありました。今までは完璧主義で試合は楽しむよりも完璧にやりたいと考えていたのが、東京五輪からの3年間でジェローム・コーチに出会い、試合を楽しむことを覚えたという話をされていました。

 卓球も同じですが、個人戦から団体戦に続いていく競技は、短い時間でどれだけ切り替えていいプレーにつなげられるかが大事です。個人の舞台では思い通りにいかなかったと思いますが、そこで切り替えて、団体戦で勝利を決められた。そのことは江村さんにとって大きな自信になったと思います。団体戦での銅メダル、江村さんに心からおめでとうと伝えたいです。

 グランパレは本当に美しい会場でした。フェンシング発祥の地ということもあって、目で追えないほどの剣のスピードでも、観客の皆さんはどちらに得点が入ったかを分かっていて、攻撃した瞬間に大歓声が沸きます。フランスでの人気や歴史を感じましたし、あれだけのアウェーの中で勝った日本の選手たちに拍手を送りたいです。(卓球女子団体12年ロンドン銀、16年リオ銅、21年東京五輪銀メダリスト・石川佳純)

この記事の関連ニュース