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「お前の分まで頑張る」センバツ王者・健大高崎の新エースが圧巻のノーノー救援 故障で戦列離れた友のために

スポーツ報知 2024年8月8日 6時0分

◆第106回全国高校野球選手権大会第1日目 ▽1回戦 健大高崎1―0英明(7日・甲子園)

 高校球児による真夏の祭典が開幕した。暑さ対策で2部制が初めて導入され、「夕方の部」の初戦に登場した今春センバツ王者の健大高崎(群馬)は、英明(香川)に1―0で完封勝ち。左肘の故障で戦列を離れたエース左腕・佐藤龍月(りゅうが、2年)に代わり背番号1をつける最速154キロ右腕・石垣元気(2年)が4回途中から救援し、無安打無失点に封じる力投を見せた。開幕戦では滋賀学園が有田工(佐賀)に打ち勝ち、待望の夏1勝をマークした。

 最も心を通わせる仲間であるとともに、最大のライバル。新たにエースナンバーを背負った石垣は、戦列を離れた佐藤への思いを力に変えた。両校無得点の4回1死満塁。厳しい場面でのリリーフにも、石垣は堂々と右腕を振った。

 「佐藤だったら、ここは抑える。自分も負けたくない!」。英明の7番・高橋一成への3球目に150キロをマークして場内を沸かせると、フルカウントの9球目に151キロの直球で一ゴロに打ち取り、本塁ゲッツーで切り抜けた。

 5回2/3をノーヒット。自己最速の154キロには及ばなかったが、153キロをマークした。「場内が何度かどよめいたのは感じましたが、欲は出さないように…」と余裕の笑み。視察した中日・松永スカウト部長は「力感なく簡単にスピードが出る。素材は良く、今後が楽しみ」と高評価を口にした。

 甲子園で初めて導入された「2部制」も味方につけた。午後4時開始の夕方の部で、マウンドは大きな銀傘の陰になっていた。「北海道生まれで、暑いのは苦手。涼しくて投げやすかったです」と石垣。球数が90球に近づいた9回にも、150キロを計測した。

 試合前夜、佐藤から「明日、頑張れよ」とSNSでメッセージが届いた。「お前の分まで頑張る」と誓った石垣は、5回に味方が挙げた1点を守り抜いた。青柳博文監督(52)は「これまでは『10番』で佐藤の陰に隠れていたが、顔つきが変わってきた。今日も、緊張感を切らさずに投げていた」と成長を喜んだ。「佐藤がいないなか、自分がエースとしてチームを勝たせる投球をしたい」。史上8校目9度目の春夏連覇を目指す健大高崎の「背番号1」は、強烈な覚悟とともに甲子園のマウンドに立ち続ける。(浜木 俊介)

 ◆石垣 元気(いしがき・げんき)2007年8月16日、北海道・登別市生まれ。16歳。登別西小1年で野球を始め、西陵中では洞爺湖シニアに所属し、2年夏から投手。健大高崎では1年春の県大会からベンチ入り。目標の投手は、星稜時代の奥川恭伸(ヤクルト)。178センチ、75キロ。右投両打。

 ▼春夏連覇挑戦校が完封発進 センバツ優勝校の健大高崎がスコア1―0で完封勝利。春夏連覇挑戦の48校中、初戦完封勝利は10年興南以来、延べ10校目。1―0完封は57年早実(王貞治が延長11回ノーヒットノーラン)、63年下関商(快腕・池永正明完封)と3校目だ。完封発進した過去の延べ9校中、春夏連覇に結びつけたのは66年中京商、10年興南の2校。健大高崎はどうか。

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