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健大高崎選手が証言、夕方の部は日陰のおかげで「全然違う」 観戦のプロも「朝夕は涼しい」…夏の甲子園、初の試みの2部制

スポーツ報知 2024年8月8日 5時0分

◆第106回全国高校野球選手権大会第1日(7日・甲子園)

 酷暑対策で開幕から3日間、朝夕2部制がスタート。効果のほどはどうだったのか。現地で取材する加藤弘士編集委員が「見た」。

 2部制導入に際して、ある芸能人がラジオ番組で「ほぼ無意味。夕方も暑いんだから」と発言していたという。確かにこの日、西宮市内で最高気温が計測されたのは午後4時の35・7度。「夕方の部」が始まる時間だ。午後5時でも35・5度だから、冒頭の談話は一見、正論に映る。

 しかし実態は大きく異なる。秘密は甲子園球場の銀傘。これによって午後4時になると、マウンドとバッターボックスが日陰になる。午後5時にはダイヤモンド全体が日陰となり、プレー環境は大きく改善される。

 「夕方の部」の初戦を争った健大高崎の生方啓介部長(43)は言う。

 「重要なのは日差しですね。午後5時過ぎから、三塁側も日陰になって、過ごしやすくなりました。緊迫した展開の中で、投手が投げられた要因だと思います。投手にとっては中盤から終盤にかけてが一番苦しい。この時間に風を感じながら投げられたのは、大きかったと思います」

 二塁手の高山裕次郎(3年)も「試合前のシートノックでは『暑いな』と思いましたが、日陰になると全然違います」と証言した。両校ともに開会式後は一度、選手宿舎に戻り、出直した。健大高崎ナインは約45分間の宿舎滞在でも、体を動かすように工夫したという。

 今後の課題は観客動員か。開会式直後の第1試合は2万9000人だったが、インターバルを経て、第2試合、第3試合は1万人に激減した。入場料金は「午前の部」「午後の部」として、中央指定席と一、三塁指定席は1日券の半額以下に設定されるなどの配慮がなされたが、特に外野席で空席が目立ったのも事実だ。

 「観戦のプロ」でもあるNPBスカウトは「やっぱり朝と夕は涼しい」と語った。第3試合は午後6時52分試合開始で、午後9時36分終了。延長11回タイブレークの死闘となったが、日中より涼しい環境で、はつらつと躍動するシーンが印象的だった。敗れた岐阜城北ナインも「楽しかった」と口をそろえた。カクテル光線の中でプレーする高校生の姿が、新たな夏の風物詩になるかもしれない。(編集委員・加藤 弘士)

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