◆第106回全国高校野球選手権大会第1日目 ▽1回戦 智弁学園9―6岐阜城北=延長11回タイブレーク=(7日・甲子園)
ユニホームの両肩部分が破れる、執念のヘッドスライディングだった。“魔曲”ジョックロックが流れる1点ビハインドの9回1死一、二塁、途中出場の智弁学園・八尾大翔が放った打球は二塁へ転がった。「打った瞬間、アウトだと思った」。併殺を覚悟した次の瞬間、一塁塁審の両手が広がった。間一髪セーフ。続く2年生4番・中道優斗の左前打で追いつくと、延長は10回に勝ち越した3点を追いつかれながら、11回に再び3点を奪い、終盤3イニングで計8得点。総力戦の末、大きな1勝をつかみ取った。
史上2番目に遅い午後9時36分の試合終了。午前8時30分開始の開会式に参加した後は大阪市内の宿舎に戻って午後1時まで昼寝し、同3時に再び宿舎を出て試合に臨んだ。小坂将商監督(47)は「長かった」と苦笑いしつつ、「後半はしっかり野球ができた。緊迫したゲームができたので、うちにとってプラス。疲れはない」と激闘に手応え十分だ。2回戦はセンバツ王者の健大高崎。指揮官は「胸を借りるつもりで全力で」と、春夏連覇阻止へ闘志を燃やした。(南部 俊太)