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パリ・パラリンピックの女子砲丸投げ・斎藤由希子…「楽しく笑顔で」メダルを狙う

スポーツ報知 2024年8月8日 9時53分

 8月28日に開幕するパリ・パラリンピックに宮城県気仙沼市出身の斎藤由希子(31)=SMBC日興証券=が陸上女子砲丸投げ(上肢障害F46)で初出場する。生まれつき左肘から先がなく、中学から競技を始め、仙台大1年時にパラリンピックを意識してから12年目で出場をかなえた。メダル獲得を目標にするベテランが大舞台への意気込みを語った。

 夢の舞台で自分らしさを忘れずにメダル獲得を目指す。2012年のロンドン大会からパラリンピックを意識してきた斎藤。「楽しく笑顔で試合をすることを目標」に戦う。「『最大限やりきったぞ』と思えることが一番。自然とメダルというものを獲得できたら」と言葉に力を込めた。

 パラリンピックまでは険しい道のりだった。気仙沼中1年時にハンデが関係なく競技ができる砲丸投げに出会った。健常者の大会に出場し、活躍していたが、気仙沼女子高2年時の11年3月に東日本大震災で被災。自宅を津波で流され、避難所生活を強いられながらも「全国、世界から集められた競技物品を使用して東北大会まで進んでいた」と、ひたむきに競技に取り組んできた。

 仙台大では健常とパラの大会に出場し、4年時には当時のF46クラス世界記録となる12メートル47をマークするなど活躍。社会人となりパラリンピックを目指してきたが、ロンドンから21年東京大会まで自身が出場するクラスが競技人口が少ないために、開催されず。やり投げに変更して出場を目指したが願いはかなわなかった。SMBC日興証券からは6人の所属選手が東京大会に出場した。「アスリート社員として競技をする中で最高峰のパラに出ないことが会社に対しても申し訳ないし、同じ(立場の)社員がパラに出られるけど自分が到達できていない悔しさを初めて感じました」

 引退が頭によぎることもあったが、我慢強く競技を続け出場をつかみ取ったからこそ、今大会に向けての思いは人一倍大きい。様々な思いを背負い結果を出す。「震災や学生時代、幼少期から支えてくれていた、たくさんの方々のパワーを今、最大限に発揮しなきゃいけないタイミング。自分自身が笑顔でいることを一番に、いいもの(メダル)を持って帰りたい」。全力を振り絞り、表彰台の頂点を目指す。(山崎 賢人)

  ◆斎藤 由希子(さいとう・ゆきこ)1993年8月2日、宮城県気仙沼市生まれ。31歳。気仙沼中1年時に砲丸投げを始める。仙台大4年時に記録した12メートル47は23年までF46の世界記録。23年のパリと24年の神戸での世界パラ陸上競技選手権で2年連続の銅メダルを獲得。17年に結婚し、22年3月に第1子を出産。

 ◇パラリンピック陸上競技 障がいの種類や程度によって運動能力の差が出ないようにクラス分けがされている。斎藤はF46クラス。Fは投てき競技(そのほかTがトラック、跳躍)。数字の1ケタ目は障害の種類や競技形式を表し、4は「低身長、脚長差、切断(義足未使用)、関節可動域制限、筋力低下等の障がいのある立位競技者」、2ケタ目の6は「障がいの程度」で、0~9の番号が割り当てられ、基本的に数字が小さいほど障がいの程度は重くなる。

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