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巨人・戸郷翔征「大事な試合で気合が入った」広島・大瀬良とのノーヒッター対決、捕手に大城指名して完封8勝目

スポーツ報知 2024年8月9日 5時0分

◆JERA セ・リーグ 巨人5―0広島(8日・東京ドーム)

 巨人・戸郷翔征投手(24)が首位・広島を完封して8勝目を挙げ、1ゲーム差に再接近した。3回以降は二塁すら踏ませず、散発5安打。打っても7回に今季初安打となる適時打を放ち、9回は続投を志願。118球で今季2度目のシャットアウトを飾った。打線は天敵・大瀬良に7回、モンテスの先制二塁打など5長短打を浴びせて5得点。今季開幕から続いていた大瀬良相手の連続無得点も23回1/3で止めた。9連戦中のチームは9日から敵地で中日3連戦に臨む。

 最後までマウンドを譲らず戸郷は気迫の投球を貫いた。5―0の9回もマウンドへ向かうと、最後は小園をカーブで遊ゴロに打ち取り、大城卓と抱き合った。

 8回終了後のベンチ。阿部監督から続投を問われた。中5日で14日・阪神戦の登板が決定していたが「いけるかなと判断した」と志願。118球、5安打で5月24日の阪神戦(甲子園)でノーノーを達成して以来、今季2度目の完封で8勝目をマークし「ここ数試合たくさん中継ぎが投げているので、完封できればこの9連戦の組み立てがうまくいくと思った」。救援陣をつぎ込み延長12回を戦った翌日の試合でエースが役割を全うした。

 自らの決断を投球につなげた。指揮官から先発捕手の指名を託され「岸田さんの配球も相手の頭に入っていると思ったし、4年ぐらい組んでいるので」と大城卓を指名。試合前に「今日は行くぞ!」と声をかけられ、初回先頭・秋山を3球内角直球で空振り三振に仕留めるなど最速149キロの直球を軸に攻め込んだ。

 ノーヒッター同士の投げ合いにも期するものがあった。戸郷に次いで6月7日のロッテ戦でノーノーを成し遂げた大瀬良とのマッチアップ。「お互い(達成)した仲間ですし、勝ちきらないといけない大事な試合で気合が入った」と腕を振った。

 阿部監督も「いつもこねくり回して、つながれていた中で今日は力勝負できていた」と拍手。バットでも先制した後の7回無死満塁。大瀬良から今季38打席目で初安打となる左前適時打を放つと、左翼手が打球を後逸。走者一掃で自身も三塁まで激走。「走りすぎて最後、9回(足が)つりそうでしたけど…」と笑った。

 シーズン前MVPを誓った右腕だけに、試合前まで3試合連続で白星をつかめず自らを責めた。「前半戦は僕の中で30~40点ぐらい。本塁打の数も多いし、もっとできる」と振り返った。そんな時、前を向く原動力となったのは1軍の舞台に立てない選手から発せられた言葉だった。「その悩みを1軍で味わえているのはいいことだよ」。戸郷は「刺さった。そういう苦労を1軍で経験させてもらえている。力に変えないといけない」。笠島、森本といった育成選手と自主トレをともに行い、その真摯(しんし)な姿を見てきたからこそ、思いは強い。「なんとか(完封を)達成できてよかった」。目尻を下げた若きエースの快投でチームに光が差し込んだ。(水上 智恵)

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