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村竹ラシッドに競技の楽しさを教えた恩師「ハードルがあったら勝てる」と思わせた緩急ある練習 …パリ五輪

スポーツ報知 2024年8月9日 10時30分

◆パリ五輪 第14日 ▽陸上(8日、フランス競技場)

 陸上男子110メートル障害の村竹ラシッド(24)=JAL=に陸上競技の基礎を教えたのが、松戸市立第一中時代の陸上部の顧問・高嶋美佳さん(47)だ。世界最高峰シリーズのダイヤモンドリーグなど世界を股にかける村竹に、競技の楽しさや厳しさを教えた恩師が、当時の熱い練習やチームでの村竹の存在感を語った。(取材、構成=手島 莉子)

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 村竹の基礎は、中学時代の熱い練習から作り出されている。高嶋さんは「いつもぴょんぴょん跳ねている少年」と村竹の印象を振り返る。足首の強さと強いバネが武器で、入学当初は幅跳びや高跳びにも挑戦。「リズムを刻む感覚が楽しかったのと、走って勝てない相手にハードルがあったら勝てる喜びもあったと思います」と110メートル障害にドはまりするとメキメキと力をつけた。2年生の全国大会では優勝して見せた。

 砂浜修行だ。村竹も「きつかった」と話すほど、当時の練習は厳しかった。高嶋さんの指導は熱い言葉と工夫した練習で生徒らを鼓舞するスタイル。冬季練習は代わり映えしないため、月に1回は砂浜へ。千葉・稲毛海岸をとにかく走った。「ゴールは自分で決めなさい!」と限界まで走り、「辛いときは声を出せ!」と富士山に向かってみんなで目標を叫んだ。その後は水遊びで息抜き。緩急ある練習は、村竹の基盤を強くした。

 部内での愛称は「ラシ」。「とにかく優しい」と誰もが認める性格で、「チームに自分を表現することが苦手な子も、巻き込める。みんなをつなげるような子でした」。とにかく高嶋先生の言うことには大きな声で「はい!」と返事をする生徒だった。指導方針は「みんなに愛される選手になろう。応援されるチームになろう」。高嶋さんの教えが根底にあるからこそ、村竹は多くの人に応援される選手なのだ。

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