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スポクラ安楽宙斗が日本男子初メダルの銀「リードは完敗」 準決勝、決勝ボルダーを首位通過も頂点届かず…パリ五輪

スポーツ報知 2024年8月9日 21時19分

 ◆パリ五輪 第15日 ▽スポーツクライミング(9日、ルブルジェ・スポーツクライミング会場)

 男子複合(ボルダーとリード)の決勝が行われ、初出場で準決勝首位通過の高校生、安楽宙斗(そらと、JSOL)が、スポーツクライミングで日本男子初となる銀メダルを獲得した。第1種目のボルダーでは第1課題を“一撃”で仕留めると、第2課題は唯一の完登を果たすなど、69・3点とトップ通過した。続く第2種目のリードでは銀を確定させてから、あと一歩のところで届かず金メダルを逃した。安楽のリードは全体5番目の76・1点で合計145・4点。

 金メダルに輝いたのはトビー・ロバーツ(英国)で、ボルダーは63・1点、リードは92・1点とともに全体3番目の得点をたたき出し、合計は155・2点だった。

 日本男子初の表彰台の快挙も、安楽は「2位で、表彰台に乗れたことは最低の目標だったんですけど、ボルダーでほぼ同点で、リードで勝った方が勝つっていう状況で、圧倒的に負けたなという感じですね。去年の世界選手権よりだいぶリラックスして臨めたんですけど、ボルダーでの疲労の切り替えとか、だいぶ途中のパートですごくグラグラして、いつ落ちてもおかしくなくて、結構ダメダメの登りだったので。リードは完敗ということですね」と悔しさをにじませた。

 安楽は昨季、W杯初参戦にして、史上初となるボルダーとリードの2種目で年間総合王者に輝いた大物ルーキーで、千葉・八千代高に通う3年生。現在は夏休みだが「みんな受験なので、宿題はないです」と初出場の大舞台に集中した。

 両腕を伸ばしたリーチは身長を大きく上回る180センチ超えで、「身長は小さいが(海外選手と)リーチは同じくらいなので有利」。本人が「ふわふわクライマー(笑い)」と話すように力みがなく、腕の疲れを少なくしながら登る技術も武器とした。

 若くして世界のトップ選手と張り合い、16歳の頃から圧倒的な成績を残してきたことから、世界から「クレイジー」と称賛される逸材は五輪でも準決勝、決勝第1種目のボルダーでは首位通過と確かな存在感を見せた。だが頂点にはあと一歩、届かなかった。「表彰台に乗れたことは、とてもうれしいんですけど、やっぱり本当に金を狙って、ボルダーから、準決勝から集中してこなしてきたので、今まで一生懸命やってきたんですけど、すごく悔しいです」と唇をかんだ。

 スポーツクライミングは21年の東京五輪から採用され、同大会ではボルダー、リード、スピードの3種目による複合が実施された。日本は女子で、野中生萌が銀メダル、野口啓代さんが銅メダルを獲得し、W表彰台を飾った。そして今回のパリ五輪ではボルダーとリードの複合と、スピードの2種目での実施となった

 ◆安楽 宙斗(あんらく・そらと)2006年11月14日、千葉・八千代市生まれ。八千代高3年。小学2年生からクライミング競技を始める。21、22年と世界ユース選手権リード種目で連覇。23年のW杯でボルダー、リードで総合優勝。168センチ。

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