◆第１０６回全国高校野球選手権大会第３日 ▽１回戦 西日本短大付６―４金足農（９日・甲子園）
金足農のアルプス席には、輝星と大輝の父・正樹さん（４８）の姿があった。友情応援に駆けつけた農業系の学科のある有馬（兵庫）の吹奏楽部員も含め、この日のスタンドは紫一色に。輝星を中心に、準優勝まで駆け上がった１８年夏から６年。同校ＯＢでもある正樹さんは、あの日と変わらぬ光景を「いい場所です。本当にまた来られるとは思っていなかった」と感慨深げに見つめた。
「大輝はお兄ちゃんが大好き」と正樹さん。「年が離れているので、大輝の方が気を使っている感じ」と、弟の意外な一面に苦笑いを浮かべた。それでも「けんかは見たことがない」と断言。「もしけんかしてたら、ちょっと輝星、お前どうなってるんだって感じ」と、２人の絆を自慢げに明かした。
この日、普段はシャイな弟が、兄の見守る前で大粒の涙を流した。その姿に父は「また出直して、１年後にここにたどり着いてくれれば」とエール。“金農旋風”の続編を心待ちにした。（南部 俊太）