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スポクラ森秋彩は4位 表彰台逃すも「悔しさを持ち帰るには一番いい順位」得意リード1位で存在感…パリ五輪

スポーツ報知 2024年8月11日 6時30分

◆パリ五輪 第16日 ▽スポーツクライミング(10日、ルブルジェ・スポーツクライミング会場)

 10日に女子複合決勝が行われ、初出場の森秋彩(あい、20)=茨城県連盟=が2種目合計135・1点で4位だった。前回東京五輪の2位・野中生萌、3位・野口啓代に続き、日本女子2大会連続の表彰台はならず。ボルダーで7位と大きく出遅れるも、得意のリードで「完登」まであと一歩まで到達し、トップの96・1点を獲得。最後まで持ち味は発揮した。ヤンヤ・ガルンブレト(25)=スロベニア=が連覇を達成した。

 照りつける太陽、強い風もものともせず、森はぐんぐんとゴールに迫った。ボルダーは苦戦し、3位とは20・7点差。リードでの大逆転に全てを懸け「突き進むのみ」。歯を食いしばり、154センチの体を懸命に使って巨大な壁を登った。「完登」目前まで迫り、観客も総立ち。リードは全体1位と意地を見せた。「メダルを取りたかった。でも悔しさを持ち帰るには一番いい順位」。初の大舞台は、これまでにない課題をくれた。

 粘り強さが、森を強くした。小学1年生から通う茨城・つくば市の拠点「スポーレクライミングジム」。幼い頃から、とにかく一度登ったら下りてこない女の子だった。店長でクライマーの青木達哉さん(39)は「永遠と…」と表現するほどで、最終的に「秋彩、そろそろ」と父に下ろされるのがお決まりだった。

 登れないときは一度下りてコースを見渡し、再挑戦するのが一般的。ただ森はどうにか1トライの中で完結させたかった。そのおかげでついた力は「壁で休む」。日本代表の安井博志コーチ(49)は「いくら登っても疲れない持久力があり、一番(体が)楽なポジションを狙っていける」。壁に張りついて離れない姿は、まるで忍者だ。

 前回の東京五輪は、大会直前に国際連盟が選考基準を変更したことで出場できなかった。前代未聞の形で道が途絶えた。一度競技から離れる時期もあった。「クライミングがもう嫌になっていた。大会に出ることも考えられなかった」。挫折を乗り越え、戻ってきた森。3年待った舞台で存在感を放った。次は4年後へ「金メダル取れるように、諦めずに頑張りたい」。世界一のクライマーへ駆け上がっていく。(小林 玲花)

 ◆森 秋彩(もり・あい)2003年9月17日、茨城・つくば市出身。20歳。幼稚園時代はフットサル、小学1年時に父・正夫さんの影響で競技を始める。世界選手権は19年大会で日本人最年少15歳で銅メダル(リード)、23年大会のリードで金メダル、複合(ボルダー&リード)で銅メダルを獲得。W杯はリードで4度優勝、複合では22年盛岡大会で優勝。筑波大3年。154センチ。

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