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奇跡の天才、17歳の玉井陸斗が銀メダルの快挙! 男子高飛び込み日本人初メダル…パリ五輪

スポーツ報知 2024年8月10日 23時23分

◆パリ五輪 第16日 ▽飛び込み(10日、アクアティクスセンター)

 男子高飛び込みで、2大会連続出場の17歳、玉井陸斗(JSS宝塚)が547・50点で2位。日本飛び込み界では、1920年のアントワープ大会への初参加から初めてメダル獲得の快挙を成し遂げた。6本目の演技の得点が99・00点と表示されてメダルが確定すると、両拳を握りしめてガッツポーズ。馬淵崇英コーチと抱き合った。

 準決勝3位で迎えた大勝負。玉井は、勝負どころに挙げていた2本目の207B(後ろ宙返り3回半えび型)で95・40点をマーク。続く109C(前宙返り4回半抱え型)も94・35点で、3本を終えて2位につけた。5本目にミスが出たが、最後の5255B(後ろ宙返り2回半2回半ひねりえび型)で締め、表彰台を決めた。

 天才少年の才能が、花の都で開花した。小学1年から、JSS宝塚で始めた飛び込み。五輪6大会出場の寺内健さんらを育てた名将・馬淵崇英コーチは、玉井の体のバランスや競技に取り組む姿勢を見て「男子で勝負できる選手が出てきた。この人は、絶対に逃さない」と目を付けた。

 小学校高学年からトップチームに引き上げられ、「地獄」と言われるほどの中国・上海合宿にも参加。最長3か月、1日平均8時間という猛練習を課され、本人いわく「必死に付いていくだけ」の中で才能に磨きをかけた。

 現在は6個に割れる腹筋と、体幹の強さは生まれ持ったもの。通常は高校生ほどの体格がなければ習得できない技も、玉井は小学生時代にこなしていた。「陸斗は何もかも簡単に淡々と。合宿のつらさ(の感じ方)も、今までの選手と比べたら半分もないくらい」と馬淵コーチは話す。

 日本飛び込み界の第一人者・寺内さんをして「僕は凡人。陸斗は天才」と言わしめる。12歳だった中学1年時、史上最年少で日本室内選手権を制覇。以降、馬淵コーチの敷いた五輪のメダル獲得までのロードマップを、順調に歩んできた。

 14歳で初出場した東京五輪は、21年ぶりの入賞となる7位。世界を経験し、メダルへの道筋がはっきりと見えた。22年の世界選手権(ブダペスト)で男子初の銀メダルを獲得すると、今季は4月のW杯スーパーファイナルで531・55点、国際大会での自己ベストをマークして2位。東京から3年、心身共にたくましさを増し、五輪に戻ってきた。

 決して、競技環境が整っている訳ではない中で成長を続ける17歳。馬淵コーチが「一言で言えば、奇跡」という飛び込みの申し子が、世界への扉を開いた。

 ◆玉井 陸斗(たまい・りくと)2006年9月11日、兵庫・宝塚市生まれ。17歳。3歳で水泳、小学1年から飛び込みを始める。シニアデビューとなった19年4月の日本室内選手権で史上最年少優勝。21年東京五輪男子高飛び込み7位で21年ぶりの入賞を果たし、22年世界選手権で日本史上最年少、過去最高位の銀メダル獲得。160センチ、55キロ。家族は両親と兄。

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