◆パリ五輪 第１６日 ▽スポーツクライミング（１０日、ルブルジェ・スポーツクライミング会場）
女子複合決勝が行われ、初出場の森秋彩（あい、２０）＝茨城県連盟＝が２種目合計１３５・１点で４位だった。前回東京五輪の２位・野中生萌、３位・野口啓代に続き、日本女子２大会連続の表彰台はならず。ボルダーで７位と大きく出遅れるも、得意のリードで「完登」まであと一歩まで到達し、トップの９６・１点を獲得。最後まで持ち味は発揮した。森が小１から通う施設の関係者が、“原点”を明かした。
森の拠点は小学１年生から通っている茨城・つくば市の「スポーレクライミングジム」だ。クライマーで店長の青木達哉さん（３９）は「（初めの頃は）体が小さかったです。すごい粘り強くて、腕が持たなくなるくらいまで諦めない」と懐かしそうに振り返る。小学校低学年ではつい、おしゃべりに夢中になってしまう子も多い。しかし、森は「とにかくクライミングに夢中になる子」という。当時から「この子は結構すごい子になるんじゃないかな」と感じていた。
同施設には、高さ１５メートルのリード壁が完備されている。約３０本のコースがあり、森がウォームアップで使う一般向けからアスリート向けまで様々だ。ボルダーとリード２種目で大会に出ているが、とにかく森は上へ上へ登り進めるリードが好き。ボルダーの大会４、５日前の練習でも「リードで良いんです」とボルダー練習をしない時もあるという。
“小さな女の子”だった森がオリンピアンになった。「想像していなかったです。（パリ五輪では）やっぱり、粘り強さを見たいなって思います。あとは秋彩ちゃんが楽しそうにしている姿。ゴールしたら笑顔になってほしいなって思います」。青木さんの思いは、森に届いていた。（手島 莉子）