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超人ハッサンが5000Mと1万Mの銅に続き、金メダル 鈴木優花は自己ベストで6位入賞…パリ五輪女子マラソン

スポーツ報知 2024年8月11日 17時27分

◆パリ五輪 最終日 ▽陸上 女子マラソン(11日、パリ市庁舎前スタート、ベルサイユ宮殿折り返し、アンバリッド前ゴール=42・195キロ)

 陸上の最終種目の女子マラソンが行われ、今大会で5000メートルと1万メートルで銅メダルを獲得した「超人」シファン・ハッサン(31)=オランダ=が2時間22分55秒の五輪新記録で金メダルを獲得した。世界記録(2時間11分53秒)保持者のティグスト・アセファ(27)=エチオピア=にラストスパートで競り勝ち、偉業を成し遂げた。12年ロンドン五輪でティキ・ゲラナ(エチオピア)がマークした従来の五輪記録(2時間23分7秒)を12秒更新した。

 五輪女王になり「言葉がない。夢をみているみたい。オリンピックチャンピオンなんでテレビでしか見たことがない。2時間の間、人生でこれほど1歩1歩に集中したことはなかった。ゴールした瞬間、全てが解放されたような気がした。これまでのマラソンでこんな感覚は味わったことなかった」と喜んだ。異例の3種目挑戦で、走っている間は「5000メートルと1万メートルに出場したことを後悔した」というが、20キロ地点で調子が良くなったと感じはじめ「金メダルが欲しい」と考えるようになった。ラストスパートは「たった100メートルのスプリント。いくよシファン、もう1回、と考えていた。気分は200メートルのスプリンターだった」と振り返った。

 ハッサンは2日に5000メートル予選を14分57秒65の2着で通過。5日の5000メートル決勝は14分30秒61で銅メダルを獲得。さらに現地時間9日午後9時30分(日本時間10日午前4時30分)に1万メートルを30分44秒12で銅メダルを獲得した後、わずか34時間30分後の現地時間11日午前8時(日本時間11日午後3時)にマラソンをスタート。28キロ過ぎの急な上り坂で遅れたが、その後、下り坂で追いつき、優勝争いを繰り広げた。今大会で5000メートル(予選と決勝の2レース)、1万メートル、そして、マラソンの合計62・195キロを走った超人ハッサンの挑戦は、パリ五輪を通じてMVP級の大活躍となった。

 1952年ヘルシンキ五輪で男子のエミール・ザトペック(当時チェコスロバキア)が5000メートル、1万メートル、マラソンで驚異の3冠を成し遂げた。「人間機関車」と呼ばれたザトペック以来の衝撃だった。

 五輪初出場の鈴木優花(24)=第一生命グループ=は2時間24分2秒で6位入賞を果たした。五輪の大舞台で、昨年のパリ五輪マラソン日本代表選考会でマークした2時間24分9秒の自己ベスト記録を7秒更新した。約14キロ、約28キロ、約32キロで先頭集団から遅れたが、その度に先頭集団に追いつく粘りを見せた。「米国でアップダウンの激しいコースで練習してきました。今回、アップダウンの激しいコースで自己ベスト記録を出せたので、記録が出やすいコースでは、どれだけ出せるか、と思います。今後、五輪でメダル獲得をするところまで行きたい。五輪は楽しかったです」と鈴木は笑顔で話した。

 21年東京五輪8位の一山麻緒(27)=資生堂=は2時間34分13秒で51位だった。「順位を見れば惨敗ですけど、日本人の方はもちろん世界中の人に応援してもらって、うれしかったです。(コロナ禍で制限があった)東京五輪と違って、これが本当の五輪と感じました。応援に背中を押してもらいました」と涙を見せながら話した。

 コースは五輪史上最も困難とも言われる。アップダウンの激しいタフな42・195キロ。パリ市庁舎前を出発し、ベルサイユ宮殿で折り返し、ナポレオンが眠るアンバリッドでゴールする。コース沿道はオペラ座、ルーブル美術館、コンコルド広場、トロカデロ、エッフェル塔など名所がそろう。最高地点は20・3キロ地点の183メートルで、最大上り勾配は13・5%、最大下り勾配は13・4%。箱根駅伝の上り区間の5区と下り区間の6区とほぼ同等だ。上り坂、下り坂とも激しいが、10日に行われた男子マラソンでは金メダルを獲得したエチオピアのタミラト・トラ(32)は2時間6分26秒で走破し、従来の五輪記録を6秒更新した。女子も五輪新記録の決着となった。

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