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【甲子園】鶴岡東が聖光学院との東北対決制す…エース桜井椿稀が1失点完投&決勝の2点適時打

スポーツ報知 2024年8月12日 9時22分

◆第106回全国高校野球選手権 第5日 1回戦 鶴岡東2-1聖光学院(11日・甲子園)

 鶴岡東(山形)が聖光学院(福島)との東北勢対決に2―1で競り勝ち、1回戦を突破した。先発したエース桜井椿稀(3年)が9安打されながら1失点完投。打っても3回に決勝の左前2点適時打と投打で活躍した。4月のU―18日本代表候補選手強化合宿に参加した左腕が大舞台で復調気配だ。聖光学院は安打数で2本上回るも好機で一本が出ず。先発し8回2失点のエース高野結羽(ゆう、3年)が悔し涙にくれた。

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 勝利の瞬間、安どの笑みがこぼれた。1点リードの9回1死一、二塁。鶴岡東・桜井が一打同点の場面で、遊ゴロ併殺で切り抜けた。6回以降は毎回安打を許しながら粘りの投球。1失点完投で初戦を突破し「最高の結果が出てよかった。ホッとしたのが一番でした」と振り返った。

 8回に1点を献上したが、チェンジアップ、スライダー、カーブなどの変化球を丁寧に低めに集めた。エースは4番に座った打撃でもチームを引っ張った。0―0で迎えた3回2死二、三塁。高めに浮いた変化球をたたき、決勝の左前2点適時打。「とにかくバットに当てて1点取ろうと思っていた」と胸を張った。

 聖地で上り調子だ。春先からけがや体調を崩したこともあって調子を落とし、山形大会の防御率は2・57。日大山形との準決勝は5失点と打ち込まれた。大阪入り後、調子を上げるため、さまざまなやり方で調整。チームメートも献身的な働きでエースを支えた。女房役の億田知輝捕手(3年)は「食事では隣で食べたりして、いろんな話をしてきました」。チーム全体でエースを支えてきた。

 これまでは変化球主体の投球が多かったが、扇の要が序盤の軸として要求したのは直球だった。「ホームベースの上で伸びるようなボールが来ていた。自分が求めていたものでした」と億田。130キロ台中盤ながら、球速以上に威力あるボールで押した。

 中盤以降は変化球の割合を増やし、練習試合で何度も戦っている相手に的を絞らせなかった。終盤は毎回走者を背負ったが、桜井は「ピンチも楽しんだ。疲れはなかった」。ここまで苦しみ、チームに迷惑をかけた思いもボールに乗せての力投だった。佐藤俊監督(53)も「きょうは彼で終わるしかないかな、という展開だった」とエースをたたえた。

 甲子園では福島県勢と初対戦だったが、記念すべき初勝利。19、22年に続き、出場3大会連続で初戦を突破した。過去最高成績となる8強入りを目指し、難敵を下して好スタートを切った。早実(西東京)との2回戦(15日)でも、桜井が投打で躍動し勝利を引き寄せる。(有吉 広紀)

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 仲間のプレーを見つめながら、自然と涙が流れた。ベンチで泣きながら戦況を見つめた聖光学院・高野は、1点及ばずに敗れ「悔しいです。自分のミスで点数を取られてしまって…」と涙。この日最速142キロの直球に鋭いスライダーを駆使し、5回無死からの4連続を含む毎回の11奪三振と力投。しかし3回はバント処理をファンブルし、その後2死二、三塁から決勝の2点適時打を浴びた。「高野を負けさせない、と野手が言ってくれていた。本当に申し訳ないです」と話すと再び大粒の涙をこぼした。

 打線は相手投手の丁寧な投球を打ちあぐね、内野ゴロの間に奪った8回の1点のみに終わった。斎藤智也監督(61)は「後半は押せていたけど、低めの変化球にあと一本が出なかった」。福島県勢としては21年以来の初戦敗退で、チームとしては3年連続で東北勢対決に敗戦。悔しさを糧に来年こそ白星をつかむ。

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