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【甲子園】難病「もやもや病」を乗り越え聖地の土を踏んだ白樺学園・阿部匠真内野手「感謝しかありません」

スポーツ報知 2024年8月12日 11時15分

◆第106回全国高校野球選手権 第5日目 1回戦 白樺学園0-1創成館(11日・甲子園)

 9年ぶり出場の白樺学園(北北海道)は創成館(長崎)に0―1で敗れ、13年ぶりの勝利を逃した。

 「奇跡ですね。まさかここで本当にできるなんて」。白樺学園・阿部匠真内野手(3年)の母・智美さん(55)は、聖地の土を踏む息子の姿を食い入るように見つめた。

 昨年10月、秋季全道大会後の練習中に倒れ、厚生労働省指定の難病「もやもや病」と診断された。脳血管障害の一つで「死亡率は10%」。2月中旬に退院するまで計約4か月間入院が続き、手術は計22時間を要した。「亡くなることがなくても、麻痺(まひ)が残る不安はあった」と智美さん。長いリハビリ生活が続いた。

 発覚当初は病名を隠していた。しかし、同じ病を克服してプレーする高校球児が山形県にいたことを知り、考えを改めた。「元気にやっていれば、そういう人たちを勇気づけられる」(智美さん)。周囲に病名を明かし、復帰に向けて一歩ずつ歩みを進めてきた。

 頭には手術痕が残る。ブランクの影響で思い通りのプレーは出来ないが「戦力として考えている」という亀田監督の言葉通り、チームメートは阿部を特別扱いすることはない。守備練習で失策が続くと「やる気がないなら外れろ」など厳しい言葉をかけられる場面もあった。それでも「いろんな人に支えてもらった。自分がくじけるわけにはいかない」と阿部。腱鞘(けんしょう)炎になった左手首にテーピングを巻き、必死に食らいついた。

 甲子園で出場機会はなかったが、大学でも野球を続け、将来はNPBの球団職員を目指している。「同じ病気の人に少しは勇気と希望を伝えられたかな。最後に甲子園でやれて、感謝しかありません」。いつまでも大好きな野球とともに、これからの人生を歩んでいく。

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