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“戒めの2文字”帽子に刻み魂の121球で山崎伊織7回途中0封8勝目…連敗猛省「すごい気合入ってました」

スポーツ報知 2024年8月13日 5時0分

◆JERA セ・リーグ 巨人1―0阪神(12日・東京ドーム)

 巨人が阪神との投手戦を制し、3連勝で貯金を今季最多タイの11とした。今季初めて中5日で先発した山崎伊織投手(25)が、121球の熱投。6回2/3を2安打無失点で後半戦初勝利となる8勝目。守護神の大勢がベンチ入りメンバーを外れる中、初回に敵失で挙げた1点を5投手のリレーで守り抜いた。前日11日にヘルナンデスが左手首を骨折して離脱したが、7年ぶりの“スミ1”完封勝利で首位・広島との1ゲーム差を死守した。

 「イ・オ・リ! イ・オ・リ!」。1―0の7回2死。マウンドを降りる山崎伊に観客から大きな「伊織コール」が降り注いだ。すでに112球を投げていた1―0の7回もマウンドへ。先頭・佐藤輝をフォークで空振り三振。大山もフォークで遊飛。左の前川を迎えたところで阿部監督から交代を告げられたが、右腕の魂のこもった投球がG党の心を揺さぶった。

 6回2/3、今季初中5日で、121球で2安打無失点。6Kの熱投で今季8勝目を挙げお立ち台で「後半戦、2連敗で火曜日に負けてしまってたんで、すごい気合入ってましたし、集中していきました」と、言葉を紡いだ。

 執念だった。前回、9連戦初戦の6日の広島戦で6回5失点し「最低な最悪な投球やった」と猛省した。悔しさを胸に秘め、冷静さを貫くために動いた。帽子のつばには大きく、太く「先頭」と文字を記し先頭打者を抑えることを徹底した。「自分の中で先頭ってギアが上がりきらないことが多くて」と、イニング間の投球は普段より少し長めに距離をとって出力を調整した。

 初回先頭・近本に初球150キロでストライクを奪い、二ゴロに打ち取るなど課題としていた先頭は7回まで全て斬った。初回、23球と球数がかさんだが丁寧かつ力強く最速151キロを計測した直球を投げ込むなど、5回1死から木浪に左前安打を許すまで無安打投球。阿部監督も「最初から飛ばしてくれていたし、素晴らしい投球」と拍手を送った。

 グラウンド内外でチームを引っ張る覚悟が表れている。守護神・大勢が2連投でベンチ外。9連戦の7戦目でブルペンもフル稼働する中「1アウトでも多く先発が投げないといけない…」と、強い責任感で粘った。

 プライベートでも頼れる兄貴的存在だ。仲が良い年下投手の戸田が今年の七夕に結婚した際には菅野とともに証人を頼まれ「(戸田)懐生が家に来たで~。俺が書いた」とにっこり。那覇キャンプのオフには赤星、田中、堀田や松井、京本ら若手投手陣を連れ出し釣りへ。中でも一番釣れたという船迫は「(赤星)優志は最初行きたくないって言ってたけど、伊織が強制的に『来い!』って連れて来て(笑い)。ムードメーカーでみんなを引き込むのがうまい」と語る。年齢関係なく、分け隔てなく明るくまわりを包み込む性格も周囲から好かれる要因の一つだ。

 山崎伊が先発した7月30日から3連敗を喫していた阪神戦のリベンジにも成功。「ピッチャーが粘ってここから勝っていければ」。次戦も強い思いをボールに乗せていく。(水上 智恵)

 【清水 隆行Point】直球勝負に気持ち感じた

 いろいろな球を器用に扱うのが、これまでの山崎伊の印象だったが、この日は立ち上がりからストレートが多めだった。大事なカードの初戦。直近2試合の投球が悪かった悔しさもあったのか、球の強さに気持ちの強さも感じられた。阪神打線の状態が良く、際どい球を見極められたり、ファウルにされて、球数こそ多くなってしまったが、根気強い投球ができていた。(野球評論家・清水 隆行)

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