◆ＪＥＲＡ セ・リーグ 巨人１―０阪神（１２日・東京ドーム）
ヘルナンデスの思いを背負って攻撃陣が団結した。左手首骨折で登録抹消になった助っ人が６月１４日の日本ハム戦（エスコン）から４１試合連続で務めた３番に、阿部慎之助監督（４５）は坂本を起用。「そうするしかないのかなと。打てそうな人いないので。もう、状態もクソもないでしょ。経験がものを言うし、あれだけ打っている選手ですから」との理由だった。
初回に先頭の丸が中前安打で出塁。「何とか先取点を取りたかった」と、吉川に送りバントを指示して１死二塁の形をつくった。４月２７日のＤｅＮＡ戦（横浜）以来８０試合ぶり３番の坂本が遊ゴロの後、岡本和の三ゴロを佐藤輝が一塁悪送球する間に先制。防御率１点台の西勇からもぎ取った貴重な１点が決勝点になった。
一塁ベンチには背番号４２のヘルナンデスのユニホームが掲げられていた。「彼が来て、ここまで浮上できたというのがあるし、みんな彼に敬意を表してのことだと思う」と阿部監督。１１日の中日戦（バンテリン）で守備で負傷して無念の離脱となったヘルの分まで―。投手戦で初回の１得点のみだったが、神助っ人の魂を受け継ぎ、全員で球団７６年ぶりの「打点なしのスミ１勝利」をつかんだ。
助っ人が務めてきた中堅にはオコエが入った。今後は昇格した浅野らを含め流動的になりそうだ。試合前には内野手のモンテスが志願の外野守備練習。「彼も積極的にゲームに出たいから『何でもします』と言ってきてくれた。そこは意気に感じていますし、チャンスがあればやってみたい」と起用の可能性も示唆した。
「何とかみんなでね。日替わりになるかもしれないし、上位（打線）は固定して下位はみんなチャンスだと思って。少ないチャンスですけど何かつかんでほしいなと思います」。７月３０日から甲子園で３連敗した阪神に価値ある勝利で、今季最多タイの貯金１１。痛恨の離脱を機にチームの結束は高まった。（片岡 優帆）